2008年07月15日
私のラジオデイズ37
前回でお話ししたように、とんでもないデビューとなった
放送人生ですが、その後、間もなく泊まりシフトに
組み込まれ、まだひよっ子ながら一本立ちを果たしました。
今回は、当時のニュース業務に関わる
エピソードをご紹介しましょう。
入社当時は、まだFM放送の実用化試験局でしたが、
すでに、番組にはスポンサーが付いていました。
夜のニュースには、確か島津製作所が付いていたと思いますが、
何せ40年程前のことですので、間違っていたら申し訳ありません。
当時、ニュースは毎日新聞社から原稿を送ってもらっていました。
竹橋にはすでに立派な本社ビルが建っていました。
原稿受信にはファクシミリを使用していました。
当時のファクシミリはトイレットペーパーのようなロール状の
感熱紙を使用し、用紙の交換は勿論のこと、簡単なメンテも
アナデューサー(アナウンサーとプロデューサーが一緒になった言葉)
が行なっていました。
ところが、このファクシミリがよく故障するんです。
機械の故障は勿論ですが、人為的なミスでトラブルになる
ケースもありました。
どういうケースかというと、ロール状の感熱紙は機械の中心部分に
開いている茶筒状の穴の内側に沿って上がってきます。
この時の感熱紙は半円形に湾曲した状態で出てきますので、
途中でそれを下に垂らしておかないと大変な事になります。
どう大変か・・・そのまま延ばしておくと、紙は自然には
垂れ下がらないので当然ながら天井に届いてしまい、
そこから上には伸びなくなります。
感熱紙を押し出そうとするファクシミリとの鬩ぎ合いで
ファクシミリは紙の同じところを感熱印字してしまい、
紙はたちまちにして破れ、内部で回転している印字のアームに
巻き込まれてバラバラになってしまいます。
こうなると、感熱紙を取り除くのに数十分はかかることになります。
紙が取り除ければいいほうで、時として感熱部分のアームが
破損してしまうこともあります。
この場合は、修理依頼となりますが、今のように24時間体制で
バックアップするなどというシステムではないので、夜間に
故障したら日中の業務時間内まで待つことになります。
とは言っても、ニュースは待ってはくれませんので、このような
緊急事態に陥った場合は、タクシーを呼んで、スタジオのある
虎ノ門から竹橋の毎日新聞社まで出掛けて、
ラ・テ局の編集部の方からニュース原稿を頂いて、
急いで、また虎ノ門のスタジオまで戻ることになります。
私にも一度だけ経験がありますが、とにかく当時は一刻も早く
社に戻らなければという気持ちで、(泊まり勤務の場合、
ニュースを取りに行っている間は、会社には誰もいなくなるという
恐ろしい状態になります)
と言う訳で、かなり焦っていたにもかかわらず、
毎日新聞の編集局の方は随分と親切に対応して下さいまして、
ありがたく思っています。
こうして無事に局に届いたニュース原稿は、届けた本人によって
タクシーから今度は電波に乗って、定時ニュースとして
リスナーに届くことになります。
速さが売り物のニュースの読み手が、
新聞のように配達をしてニュースを届けていたとは、
当時のリスナーの方は思いもよらなかったでしょう。
そんな苦労も、今となってみれば懐かしい思い出となって
甦ってきます。
続きは次回に・・・・