2006年12月08日

長~い長~いつぶやき②

今は、朝7時半頃だろうか・・・。そうだ、私はとりあえず首都高速のど真ん中から避難することに成功したんだった。有難い優しき人に助けられて・・・。そう、だから、考えねばならない。次なる行動、次なる行動、次なる行動・・・、あ~~~~~ん、どうしようっ。壁にへばりついて、密かに交通整理しながら・・・・・・・・・って、んなことできるかいっ! 

故障した我がバイクを眼下に見ながら、佇むことしかできない私。目の前を通る車に乗っている人の視線は感じるものの、さすがに目をあわす勇気はない。視線はずしてても感じるものよね。哀れみのアイパワーを・・・。

10数分間の後、そろそろパッドも冷めている頃だろう。渋滞の切れ間を狙って、バイクの横へと滑り入る。慎重にバイクを前へ押してみる。
「グヘッ! 重い・・・。もう少し冷ましたい。」

で、さらに数分後、右見て左見て安全確認、オッケー。よしっ! と気合いを入れてバイクを少しずつ道路の真ん中へ押し出す。
「クウッ~! 重いぃぃぃ~~~!」
徐々に後ろの車がゆっくり近づいてくる。彼らは右ウィンカーを出して、私を避けてくれている。ありがたや、ありがたや。しかし、またもや、エールのフォンが鳴り響く・・・。
「だから~っ(><#)、困ってる人には優しくしろよぉぉぉ!」

こんなちびっ子が、まともにバイクの取り回しもできないヤツが、たらたらバイクに乗ってんじゃねぇやいっ・・・そんな声が聞こえてきそう。だから、それを跳ね返すためにも一生懸命、渾身の力をこめてバイクを押す。
「あたし、今、すっごく身体傾いてる・・・。」
超がつくほどの前のめりで仁王さんみたいな顔してバイクを支え歩いた。これがまた、ちょっと上り坂なのよ。このちょっとがキツイのなんのって。下り坂も嫌だけど、なんなんだ、この筋トレまがいの肉体労働は・・・。こんな時に限って思い通りに進まないもんだから腹がたってくるわけですよ。誰にって・・・、知らないわよそんなこと! とにかく腹が立つのよっ! 進まないわ、渋滞引き起こすわ。冷たい視線感じるわ。
「まっ、とにかく、安全が一番だから。あせるな、大丈夫、頑張れ・・・。」
ブツブツお経のごとく唱えながら一歩ずつ足を前に出していた。その時・・・!

「押してあげるよ。大丈夫? あそこまで行けばいいんだよね?」
白馬の王子が二人も!!! 
「ありがとうございます。」
そういうが早いか、ハンドル握った私までもが連れて行かれてるかのようなスピードで、数10メートル先の避難スペースへあれよあれよとたどり着いた。
「ありがとうございます~~~~っ!!!」

その方たちは、3人でトラックに乗っていらしたようだ。1人を運転席に残し、寒い路上に飛び出して私を救ってくださった。見過ごすことも簡単にできたはずなのに、それ以上に簡単をよそおって私を助けてくださった。またしても優しさが身に沁みた瞬間だった。その方たちも無事に元の車に乗り込み、何事もなかったかのように車を進めた。
「誰かを助けるって、大変なことだよ・・・。私にできる? ・・・できないかも。」

良い方向に物事が進んだから、私は今、広々とした避難スペースでとりあえず一息つけている。悪い方向に行っていたら・・・・・・・・・。想像力は時としてとんでもないところへ飛んでいってしまうから、ひとまず気を取り直すことにした。ただいま、8時10分。

さて、そこへツーリング仲間からの電話。なんだか、薄ら笑い浮かべてますぅってなカンジぃ???
「どう? 何してんの? 大丈夫? 早くおいでよぉ。」
「無理・・・。」
「大丈夫だよぉ。エンジンかかるでしょお! この前と一緒? じゃあ、大丈夫だよ。」

・・・確かに前回の時に救ってくれた仲間だから、症状も、そして原因が分からないことも把握してくれている。しかしだ! その時は、すぐそばに、見えるところに、仲間がいた。だから頑張れた。でも、今回は1人ぼっち。また途中で止まったら・・・。無理無理無理!
「無理。行かない。やだ。」
「待ってるよ!」
「ありえない。無理。絶対、嫌だ。」
「じゃあさぁ、心配だから、何か変化あるたびに電話して~。」
「うん。」
全くの1人じゃないから安心度が高まる。離れていてもみんなが嬉しそうに走るであろう姿を想像するだけで、何だか楽しい気持ちになれる。天気もいいからねぇ。

532-36.jpgが、最も待ち焦がれている人とは連絡がつかない。この状況の打開策を提示してくれるであろう我がメカニック。
「まだ朝早いし、仕事の準備もあるだろうし、まっ、いつか気づいてくれるかなぁ。」









532-37.jpg安全が確保できたからとても悠長に物事が考えられるようになっていた。「どうせ今日はゆったりツーリングに行くだけだったんだ。時間はたっぷりあるから、たまにはこんな所でのんびりするのもいいかも。なかなか居ないぜ、首都高速に居座るヤツ。」







532-38.jpg独り言がますます多くなる。ジッとしているのもつまらないから・・・、はい、カメラ取り出しちゃいますよねぇ。でも、大っぴらに楽しそうに撮影してたら怪しまれそうだから、かなりこっそり人目を気にしながらカシャカシャいろんな角度から何枚も何枚も取り直し続けました。







532-41.jpgでも、すぐ飽きちゃうのよねぇ。何もすることがなくなると、寒いということに気づく。しかも、首都高速の上は排気ガスでとっても臭い。ノドをやられそう。鼻と口を被い、帽子をかぶり、背中にカイロを貼り付け、マフラーをして風の入り込む隙間をなくす努力をする。だが、持っている服をすべて着てしまうとこれ以上寒くなった時に困る。だから、フリースを一枚だけ取っておき、それを座布団代わりにして冷たいコンクリートの上に座る。お地蔵さんになった気分だ。
「かさこ地蔵っていう日本昔話があったなぁ・・・。」
遠い昔に思いを馳せ、地蔵の気持ちに、つまり無心になってみようという1人遊びだ。

「んっ?」
さっきまでは結構興奮していたから気づかなかったが、首都高速の上って・・・、怖い。むちゃくちゃ揺れてるではないか! 大きな車が通ったならば、道路がポッキリ折れちゃって真っ逆さまに落っこちそうになる。折れるわけないだろうが、かなりの揺れだ。
「ボヨンボヨンしてる高速道路なんか嫌だ~~~。」

9時半・・・。ようやく、メカニックと電話がつながった。
「どうしたの?」
「前と一緒です。フロントロックしました。」
「どうしよう・・・。」
「(それはアタシの台詞だ!)・・・どうしましょう?」
「どうしよっかなぁ・・・。」
「(だから、それはアタシの台詞だっ!)・・・どうしましょう?」
「そうだなぁ。あっ、ヤバッ!・・・・・プーップーップーッ・・・・・・・・・。」
電話が切れた。

「ヤバイって何だ。今のあたしがヤバイ状態なのに。なんなんだ。どうしろっていうんだ。考えられることは、充電がなくなったんだろう。で? あたしにどうしろと? なんで今充電が切れるんだよっ! あたしは充電なくならないように、慎重に電話使ってるっていうのに。」
まぁ、とりあえず待つか・・・。

→ さらに続く。・・・ようやく9時半を過ぎました。あと3時間弱の辛抱です。

| 16:50 | コメント(0) | カテゴリー:木次真紀

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