2020年01月09日

天鉄②

東京シティビューで昨年から開催中の天空の鉄道展、まだまだ見落とせない展示が盛りだくさんです。最大のアイテムはトワイライトエクスプレスの実物大モックアップ。就役当時なかなか切符が取れなくて有名だった最後尾展望室の姿をリアルに再現しているほか資料映像もふんだん、他にも新幹線初代0系車両の転換式クロスシートがあったり、東京ではお目にかかれないJR各社の制服のトルソーがあったり。

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昔、客車車両の両端に掲げられていた国鉄路線図も懐かしのアイテム。半世紀前の北海道など、まさしく鉄道王国とでもいうべき充実ぶりがうかがえます。 新十津川よりも先に延びていた札沼線、いまは跡形もない深名線、池北線といった長大路線もまだ健在でした。まあ、当時は高速バスも高速道路も無かったから当然かもしれませんが

そして壁一面に飾られた時刻表の表紙。毎月発売される分厚いあの時刻表の表紙がン十年分、すべて並んだ様は圧巻です。昔は特急車両や新幹線が表紙を飾るケースが多かったものの、70年代になると主題が沿線風景や各駅停車にまで広がっていくのが興味深いところ。
例えば、70年代には大ブームとなった清里駅、小海線が題材になったり、スカ色の房総路線の各停電車が主役だったり。70年代には旧いキハ20系車両が表紙を飾ったり、リゾート特急の新顔が出現したり・・・・・一つ一つ、足を止めてゆっくり鑑賞したくなるほどの「作品」が並んでいます。

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作品といえばご存知・人気鉄道写真家、中井精也さんが三陸鉄道を捉えた写真群もぜひ、目にとめて欲しい存在です。
震災、豪雨と何度もの試練を受け、そのたびにレールを敷きなおし、設備も作り直して並みのローカル線より何倍もの投資を強いられながら再生を繰り返す三鉄。
開通、再開通の旅に住民の大歓迎に祝福される微笑ましい姿だけでなく、一番列車が過ぎた後の閑散とした車両、不通の間に橋梁を住処としたカモメたち、被災地に立ち並ぶ無機質な真新しい電信柱の群れ‥‥そこには喜怒哀楽に溢れたドラマチックな光景が繰り広げられています。
頓挫した国鉄の計画を引き継ぐ形で全国初の第三セクタ―方式で1984年に開業した北・南リアス線。開業の日には同期の女子アナが沿岸の駅から全国に向けて生中継レポートを送った懐かしい路線でもあります。被災した山田線を引き継ぐ形で三陸沿岸・南北縦貫を達成したと思ったら台風被害で再び不通に、いくつもの試練を受けながらたくましく再生を果たしてゆく三鉄の姿に鉄道への深い愛情・情熱を感じないわけにはいきません。

| 11:05 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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