2016年01月15日

何故碓氷バイパスへ

 きょう未明に起きたスキーバスの大惨事はいつも軽井沢までのお気に入りルートにしている碓氷バイパスで起きました。 場所は群馬県側からの長い上り坂が終わって少しだけ軽井沢駅の方向に下る最後の坂の途中でした。あと数十秒走れば昔、料金所のあった場所。右手にはチェーン装着のための駐車スペースもある平らな場所に到達していた筈でした。路上に残されたタイヤ跡を見る限り、ハンドルは僅かに切られていた様子で、手前に九十九折のカーブが連続していたことからも居眠りなどに起因する事故とは考えにくいようです。
 現場のカーブはタイトなヘアピンカーブというわけでもなく、比較的スピードの出やすい下り坂。50kmを超える速度も、下り坂の大型バスなら無理なく出せるはずです。そこに満員近い40人の乗客の重い車重、慣れない夜道のカーブはこのコースを熟知していないと、とても高い速度で進入出来たものじゃありません。いったい何故困難なコースを選んだのでしょうか?

 運転を担当していたドライバーはベテランだったとは言え、現地のコースは熟知していなかった可能性があります。当初予定されていたのは碓氷バイパスに入らず、手前の松井田妙義インターから高速道路に乗り入れるルートでした。何故、上信越道に入らなかったのか?


 ここからは推測になりますが松井田妙義インターへはある交差点を案内板に従い左折して短い坂を登らないと到達できません。昼間なら上信越道の立体交差の真下にあるこの交差点を迷わず左折できますが、夜の闇で立体交差も案内表示も見落としたとしても不思議はありません。私も何度か見落として素通りした経験がありますから・・・・・

・ドラーバーがコースを熟知していてルートを間違えなければ・・・・
・碓氷バイパスをもっと慎重に走行して、スピードも極力控えめにしていたら・・・・
・はじめから高速オンリーで国道を使わないコース設定だったら・・・・・

いくつもの”IF”を一つでも実現できていたら回避できた事故かもしれません。
 反面、バスの安全を担保するのはドライバーひとりの技量と安全意識だけ。車両や管理体制が万全だったとしても最後はひとりの人間に頼っていることもまた事実。ATSや数々の信号システムに守られて、何重にもフェイルセイフ策が講じられている鉄道輸送とは大きく違います。

 夜行列車を選びたいと思っても、もはや軒並みブルートレインは廃止、消滅。今ではサンライズエクスプレス以外に長距離夜行列車はなくなっていしまいました。車両の老朽化も一因ですが何と言っても最大の主犯は夜行バスの存在、高速道路網が拡充したこともありますが、規制緩和によってバス事業が許可制でなく届出制になったことが、最大の要因と考えられます。

 夜中の高速道路を走ってみればひっきりなしに行き交う夜行バスの数に驚くことでしょう。ましてやスキーシーズンともなればこれに上乗せした数のバスが走り回るわけですから・・・・・・・

 今更、こうしたツアーバス事業を許可制に戻したからといって事故の抑止につながるものかどうかは判りませんが、安全な(在来線)鉄道がもう一度、夜間移動の手段として見直されることにはならないでしょうか

| 23:50 | カテゴリー:吉田雅彦


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