2010年11月12日

A380エンジントラブル続報

カンタス航空の最新鋭超大型旅客機
エアバスA380がエンジントラブルで
緊急着陸した事故で、新たな展開が
ありました。

事故機のエンジンを製造したイギリスの
ロールスロイス社は12日、エンジンの
タービン部分の「特定の部品」が、問題を
引き起こしたことを突き止めたと発表しました。

ロンドン発の共同電によりますと、ロールスロイス社は
この問題は事故機が搭載していたエンジンの
トレント900特有の問題だと指摘しました。

どのような部品に問題があったかは明らかにされて
いませんが、「特定の部品」が「油漏れによる火災を
引き起こし、この火災で中圧タービンディスクという
部品が外れた」と説明しています。

ロールスロイス社は、原因の詳細な究明をさらに
続けるとともに、問題となった部品を取り替えると
しています。

1960年代、ロールスロイス社はアメリカのワイドボディ機
ロッキード・トライスター旅客機のエンジンとして、
RB211というエンジンを開発しました。

前回のブログでお話したようにこのエンジンは世界初の
3軸式のターボファンエンジンでしたが、開発には多くの
問題が山積し、膨大な開発資金と労力が費やされました。

この結果、ロールスロイス社は経営が悪化し倒産に至った
という経緯があります。

その後、ロールスロイス社の社名は存続したまま国有化され
現在に至っていますが、自動車の名門ロールスロイス社も
ジェットエンジン部門に於いてはいばらの道を辿っていると
言えそうです。

| 21:31 | コメント(6) | カテゴリー:田中穂蓄

コメント

田中さん、お疲れさまです。
今回は、「いばらの道」に深く共感致しました。
人事とは思えなくて・・・(苦笑)
田中さん、前回の「ロールスロイス社」は、あの自動車の名門のいロールスロイス社でしたか!?
自分は、同社が自動車だけでなく、航空機のエンジン開発も手掛けているとはにわかに信じられず、前回・今回の記事を何度も繰り返し読み返しました・・・

投稿者 ちなみん : 2010年11月12日 22:47

技術力が未熟なまま航空機エンジン開発をしたのが原因で、ロールスロイス社は自社で自社の首を締めたと言えましょうか。
他社にも大なり小なり不安要素はありますね、物がモノだけに精度を上げにくいのでしょうか?如何なところ?
日本はMRJが順調に軌道に乗って信頼得られたら、エアバス社やボーイング社よりエンジン受注がくるやもしれない?三菱踏ん張れ!
(鉄道は日立が奮闘中です)

投稿者 小人部隊一号 : 2010年11月12日 22:49

トライスター初搭乗時の印象はやたらと振動の大きなエンジン(RB211)だなあ、というものです。
着陸後リバースに入ってから出力を上げるとものすごい
振動と音で、回転バランスちゃんととってるのかいな
と思うくらいのものでした。確かハットラックの一部が
ショックで開くくらいのものだったと思います。
毎分何万回転もするタービン軸だけに、ちょっとした
重量バランスの崩れや生産工程での精度不足が起因して
いるのかな、と素人ながらに考えてしまいました。
あれから全日空も懲りたんでしょうか?・・・・・・

投稿者 吉田雅彦 : 2010年11月12日 23:25

知名みんさん、ありがとうございます。
ロールスロイスは今や航空機エンジンの名門です!
現在、航空機用大型エンジンを製造しているのは、イギリスのロールスロイスと、アメリカのプラット&ホイットニー、ジェネラル・エレクトリックの3社だけです。
日本も小型エンジンの製造開発はしていますが、大型エンジンの製造はV2500というエンジンに部品を供給しているだけで残念ながら行っていません。
JAXAなどが中心となって研究は進められています。高圧タービンの実用化が進めば、日本も大型ジェットエンジンの生産ができるんですが・・・・・

投稿者 ホヅミ : 2010年11月15日 11:20

小人部隊一号さん、ありがとうございます。
MRJにはP&Wが開発した新型エンジン、PW1000Gが採用されています。
このエンジンは、ギアードターボファンエンジンと呼ばれ、ギアによって低圧ファンの回転を減速させることで最適な推進効率が図れるよう設計されたものです。
このエンジンの採用や機体の軽量化、空気抵抗の少ない機体デザインの採用などで燃費効率が同クラスのリージョナルジェットに比べて2割から3割良くなっています。機体性能はトップクラス、あとはいかに説得力のある販売戦略を展開するかにかかっています。

投稿者 ホヅミ : 2010年11月15日 12:12

吉田さん、ありがとうございます。
ロッキード・トライスターはパイロットには評判の旅客機でした。
コックピットパネルのスイッチ類を世界で初めて押しボタン式の視認しやすいものにしたことも理由の一つです。取材で全日空のトライスターのシミュレーターを体験したことがありますが、従来のノブを前後に倒す方式のスイッチが全面に取り付けられているコックピットと違って近未来の操縦席に座ったような印象を受けました。トライスターは私も何度か乗りましたが好きな旅客機の一つです。
残念なことに、この旅客機がロッキード社最後の旅客機となってしまいましたが・・・・・

投稿者 ホヅミ : 2010年11月15日 12:25

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