2015年09月23日
vwが迎えた大きな岐路
今朝のJ-WAVE TOKYO MORNING RADIO [コニカミノルタ]MORNING VISIONではフォルクスワーゲンの排気ガス検査不正操作問題を取り上げました。バツが悪いことにアメリカ環境保護庁=EPAがこの問題を発表した18日は折りしもドイツ・フランクフルトモーターショーの開催真っ最中。直ちにVW側はアメリカでの問題となったVW車の販売中止を発表しました。
ではいったい何をどう不正に操作したのかというと、ディーゼルエンジン搭載車が北米の排気ガス検査を受ける際に、試験台の上でのみクリーンな排気ガスが出るように・・・、一般路上での走行では走行性能重視のクリーンでない排気ガスが排出されるよう、ズルしたプログラムが仕込まれていたというもの。
試験台の上に居るかどうかを判別するには四本あるタイアの回転数の差を比較すれば良い訳で、アンチロックブレーキを装備した最近の車なら簡単に出来る仕組みです。おそらくは看板車種に搭載された4気筒2.0ディーゼル・エンジンが該当するのではないかと推測されます。
このニュースを受けてドイツVWグループ株価は急落、関係のない自動車他銘柄や関連産業、貴金属市場にまで影響がでています。ただでさえ、シリア難民受け入れで揺れているドイツ政権、想定外の今回の問題で更なる混乱も予想されます。しかし、なんと言っても問題なのは今後のVWの経営問題です。
堅実、信頼性が売り物だったフォルクスワーゲン・ビートルの血統を受け継ぎ、世界ブランドとしてトヨタ・グループとは年間生産1,000万台を競い合った世界企業グループ。ポルシェやアウディ、英・ベントレーやランボルギーニ、さらにはスペインのセアト、チェコのシュコダをも傘下におさめるそのブランド=ロイヤルティーに与えたダメージは計り知れないものがあります。
真っ黒い排気ガスが大嫌いだった以前の都知事の影響で日本市場ではあまり人気のないディーゼル乗用車、ヨーロッパ市場では熱効率の高さや温暖化ガス排出量が少ないこともあって、市場の半分を占めるまでに広がったディーゼルエンジン。そもそも大衆車に小型の1500ccディーゼルエンジンを搭載して話題をさらったのは40年前の初代ゴルフ「D」が最初でした。ルマン24時間の優勝車も最近はディーゼルですし、欧州に輸出されるスバルやホンダの乗用車には日本にはないディーゼル仕様も存在します。
とりわけこれからのヨーロッパ市場で,VWグループが受けるであろう販売への影響は計り知れないものがあります。この問題で1100万台が該当する、という数の多さを見ても来年以降の生産、販売の落ち込みが懸念されます。のみならず、ディーゼル車を生産する他メーカーにとっても悪影響が及ばないか、VWの今後の対応から暫く目が離せないだけでなく、来月に控えた東京モーターショーでの対応も気になります。
このニュース、欧州株価市場の動向も含めてこれからも目が離せない展開となってきました。