2014年12月01日

美女とりえとブラッド・ピット

 毎月一日は一本1000円で映画が見られる映画の日。一日に3本ハシゴしても3000円、今話題の寄生獣をはじめ,来年の賞穫りレースに向けて話題作が相次ぎ公開、いずれも秀作揃いです。じゃあ,さっそく寄生獣でも・・・いや、映像で血や肉は見たくないので招待券か何かに機会を譲るとして、==========まずは美女と野獣から==== === =
 
 ことし大ヒットしたディズニー作品「アナ雪」とは違い、こちらはフランス製作の実写版映画。劇場版ミュージカルの方を見たあとでも、ストーリーが絶妙にアレンジされているので最後まで展開が読めません。舞台では再現できない映像効果もふんだんに取り入れ,フランス製作ならではの美しいロケ地、豪華な衣装の数々・・・・
 そしてアニメではない,実写で描かれたファンタジーでは実物の女優さんの美しさが何よりの命。見覚えのある顔とおもいきや「マリー・アントワネットに別れをつげて」で主役を演じ、東京国際映画祭にも顔を出していたあの人;レア・セドゥーだったんですね。今度は007の次回作にも出演するらしく,その対比も楽しみです。
 監督のクリストフ・ガンズ監督は大魔神や松本零士など、日本作品にもリスペクトの気持ちを抱いているそうで、そういわれてみると,何となくもののけ姫が出て来そうな古城にも納得が行きます。

 渋谷のとある映画感では満員売り切れ続出でした・・・寄生獣は空いてるのにね

============紙の月==== === =========
 この映画は今年イチバンの注目作、吉田大八監督といえば第36回日本アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀編集賞を獲得して評判の『桐島、部活やめるってよ』のほか、堺雅人主演のクヒオ大佐が印象的、今回の作品「紙の月」ではついに宮沢りえ、小林聡美と言った実力派大物女優を軸に銀行員の横領、主婦の浮気といった良くある話をスリラーにも似たタッチで,最後まで緊張感のあるテンションで描いてゆきます。来年の賞穫りレースが楽しみな邦画作品です。
 音楽の挿入も最小限に抑えられ、宮沢りえと小林聡美の迫力ある演技を際立たせています。他人を騙す主人公というのはクヒオ大佐でも描かれたテーマですが,今回は全く違ったアプローチで監督の懐の深さを見せています。そして,最後には予想もつかないダイナミックな結末が! 角田光代の原作の魅力を十二分以上にフィルムに焼き付けた作品は(今やデジタルファイルですが)来年の各映画賞でも有力な候補となること請け合いです。

 付け加えておくと、タイトルの紙の月は名作映画のペーパームーンと関係あるのかと思いましたが、違った様で、テーマ曲も全く関係のないものでした。


------------------------------FURY-------------------------------
 さて,もうひとつの注目作品がブラッドピット主演,製作にも係わっている戦車映画「FURY」 第二次大戦最終局面でのドイツ戦線が舞台の正統派戦争映画です。が、戦場での英雄を描いたヒーローものでもなければ作戦大成功で大団円でもありません。出て来るのはおびただしい数の遺体と飛び交う銃弾,それに山ほどの不条理の数々です。
 そもそも戦争映画なので,誰と一緒に観に行くか,ちょっと考えておきましょう。そんな中にあってオトコの生き様を貫くブラピの姿をずっと見ていたい・・・と思う女子や、門外不出だった88mm砲装備の実在するTiger II,一台 を撮影に使って、このメルセデス級超強力戦車に相対する76mm砲の非力なアメ車=シャーマンM4A3E8戦車が戦いを挑む設定のリアルな戦闘シーンに興味がある武器、戦車マニアで無ければ見るのが辛い映画となってしまうかも知れません。

 ブラピ先輩に鍛えられて一人前の兵隊になってゆく青年の成長ストーリーという好意的な見方も出来なくは有りませんが普通のデートカップルには「美女と野獣を見なさい」と薦めたいところ。カノジョがもの凄くブラピ好きで彼氏が戦車マニアのカップルだったら、もう云うことはアリマセン.絶対見逃すな!です。あとは賛同を得られる同性の友達を誘った方がいい作品です.アカデミー作品候補としても評価は高いようですが・・・・・

 この映画を見おわっても感動や爽快感は得られない 人の方が多いでしょう。やっぱり戦争には行きたくない、戦車に乗るのは御免だ!と思ってくれたら監督も本望かも知れません。第二次大戦の従軍経験者が残り少ない今、証言をもとに忠実に史実を描いたこんな映画は若い人にこそ見ておいて欲しい悲劇だと思います。


 満員に近い客席が案外オトコ(の汗)臭いムッとする空気に包まれていたと感じたのはワタシだけでしょうか???

| 15:53 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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