2024年04月06日

ニーチェからPAULまで

九段理江の「しをかくうま」は先月発売されたばかりの新刊
競走馬の名前文字数が九文字から十文字に変更される。という出来事から物語がスタートします。主人公はテレビ局で競馬実況(も担当する)アナウンサー。取材で一回だけ訪れたマッチングアプリの会社DNAの女性代表がいきなりマンションを訪ねてきて要求してきたものとは?
前作「東京都同情塔」にもましてパワーアップした九段ワールドはどこか筒井康隆の作品を読んでいるようなトリップ感をもたらします。同時に前回も取り上げていた人工知能や頭脳の電子化もテーマに。今回は詩の世界にも大きく踏み込んでいて、それだけではなく人と馬との関わりを有史以前から掘り下げたりと広角度に拡げたアンテナはさまざまな事象を鋭く分析もしています。
まだ花形の重賞レース担当までは任せられていないアナウンサーの存在は実は馬たちの間では評判だったりすることを当の本人はまだ、知らない・・・・・
ストーリー展開の弱さを補っても尚その記述にどんどん引き込まれてしまう私なのでした。早くも次回作に期待が膨らみます。

| 17:56 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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