2022年01月22日

mediaの歴史⑵1938

ラジオ放送開始当初、メディアそのものが事件になった!
今も伝説に残っている火星人来襲のラジオドラマが全米で放送された時、途中から番組を聞いた人々は本物の臨時ニュースだと思い込んで国中がパニックに陥り、避難先では多数の死傷者が発生した・・・・・・
と一般的には記憶されていますが、事実は違うようです。
俳優オーソン・ウェルズがSF小説『宇宙戦争』を脚色した1938年の放送自体の聴取率は2%程度とされており、紅白歌合戦で女性ダンサーたちが全裸でおどった!と全国民がパニックになるほどの騒ぎには実際に達しなかったようです。
でも、往時の新聞記事には恐怖を語る人々の証言や各地で起きたパニックの様子が連日報道されて・・・・・・

実はこの新聞報道の方に問題があったらしいのです。
当時、ラジオ放送と言えば新たな広告認知の媒体として急成長の真っ最中、多数の広告主を抱える新聞業界にとっては由々しき事態です。今の時代でいえば既存の放送局vsネット広告の出稿量の変化、みたいなものでしょうか?
当然新聞各紙はこの新興メディアのもたらす危険な側面を強調した論調に。報道が事実であるとするなら、ウェルズはじめ担当者はタダでは済まされなかった筈でした。でも実際はお咎めなし。

それでは一体なぜ新聞が、このような誇張した報道をしなければならなかったのか?という点ですが、当時のラジオは新興のメディアとして注目を集め、新聞や雑誌から広告主を奪う強敵とみなされていたから。というのが通説です。この新参者に対して旧来のメディアが脅威を感じて、隙あらば刺してやろう、と考えたとしても不思議はありません。ラジオというメディアに不利益な報道なら大歓迎、という訳です。
おまけに新聞社が行った取材というのも実際にはラジオの聴取者本人よりも噂をまた聞きしてパニックに陥った人からの聞き取りであった、というような説もあって、実際のところは当時の取材記者に質さない限り確かめようがありません。

むしろ、この反響はラジオの影響力の大きさを喧伝することにもなって、放送業界の隆盛にもつながった・・・・・と考えるのは邪道でしょうか?
事実と紛らわしい放送素材の使い方に映像資料の再利用があります。ニュース画面の中に、資料映像と断りをつけるシーンをよく見かけますが、これも誤解を招かないための方策の一つと言えるでしょう。

| 11:00 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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