2022年12月10日

留萌本線とうとう

北海道の基幹路線、函館本線と日本海側の港町を結ぶ、留萌本線がとうとう来年で廃止の運びとなりました。

正確には終点の留萌と途中駅の石狩沼田駅の間、つまり海に出るまでの峠越えを含む大部分が廃止になってしまうのです。当初9月までだった運行が3月末日までに前倒しとなり、もう雪景色の車窓風景しか見られなくなります。

留萌は、もと羽幌線や増毛方面に向かうターミナル駅だったもので、しっかりした石造りのクラシックな駅舎が魅力でした。ほど近い場所にあった浜中海水浴場駅は夏の短い観光シーズンだけに停車する幻のような存在でしたが、10年と経たず廃止、増毛までの区間も一足早く廃止となっています。

峠道の途中にあった恵比島駅はドラマ、すずらんに登場する明日萌駅として、SL観光列車が停まるなど、脚光を浴びたことも今は昔・・・・

石狩沼田駅もまたかつてのジャンクション的な位置で、札沼線の沼の字もこの沼田に起因したものです。起点の深川駅はこれまた廃止された深名線の起点でもあって、この近所にはいくつもの交通の要衝が存在したものです。

そんな留萌本線を舞台にした推理小説がありました。

「留萌本線最後の事件」(山本功次)、は文字通り留萌本線を舞台とした列車ハイジャック事件を描いた作品です。

物語は深川駅を朝早くに出発した一両編成のディーゼルカー、キハ54系の乗客からスタートします。大半は廃線を惜しむ鉄道マニアたち、でも中にはちょっと毛色の違う乗客も混ざっていて・・・・・ 事件は乗客を人質にとり、法外な身代金だけでなく、意外な要求を突きつけます。

物語は留萌線の廃止を巡るある公共事業にも深くメスを入れ、色々と社会問題にも切り込んでいきます。 人質乗客が投稿したSNSが波紋をひろげ、ネット社会の在り方にも一石を投じており、これから起こるかもしれない新種の誘拐事件の解決を難しくするかもしれないヒントが隠されています。 そして北海道に土地勘のある人、現地を旅した人なら思い出や郷愁に浸ることもできる・・・・・多角的に楽しめた作品でした。 ...

小説を読みながら留萌本線の列車に揺られて・・・も残り少ないチャンス。寒いのを覚悟して北海道に向かうか?!決断できるのもあと100日ばかりです

| 22:26 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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