2022年02月06日

media file革命

デジタルメディアと呼ばれるデバイスの中でAppleという一つの企業が果たした役割は甚大です。
その大きな転換点となったのはi-podと呼ばれる製品の発売でした。

実はiーpodの前にも音声データファイルを配信する事で利益を得るダウンロードビジネスは日本で始まっています。
電話着信音のメロディを音源ファイル化した着メロがそれです。音のデータをファイル化して商品として流通させると言うビジネスモデルはI-podでも反復されています。

着メロは少ない音源を規則的に並べた軽いデータでしたが、この普及がiーpodの成功に先駆けていたのは興味深い事象です。
アップルのビジネスは流行の音楽をデータとして流通させ、やがてはモーターを一つも使わない音楽プレーヤーを世に送り出しました。
ファイルに収まっていたデータは音楽のみならずニュースやっぱり娯楽などの番組もポッド・キャスティングと言う新しいメディアの形態を誕生させます。その多くは無料で配信され、あるいは広告を載せて広告主から利益を手に入れる事さえ可能でした。言わばラジオ番組の商品化とでも言えるでしょうか?
iーpodは2000年代にどんどん開発スピードを上げ続けます。

思えばその昔ソニーがカセットテープをステレオで,屋外でもヘッドフォン再生出来るようにしたウォークマンに依って,音楽の聴きかたも、文化さえも変えてしまったといわれるほどのムーブメントを起こしています。I-podではどうだったでしょう


AppleはI-podの液晶画面でブラウザを閲覧出来る様なソフト=アプリケーションを組み込んで、携帯電話用の電波を送受信出来る様にしました。電話番号を回せば音声通話だって出来ます。つまりこれがスマート・フォンの誕生です。液晶画面を更に大きくしたのがI-PADでした。電話機能を取り除いたものはiーpod・touchとして商品化され、Wi-Fi電波が使える場所ではスマートフォン並みの使い方が出来ます。

iーphoneの登場はライバル=アンドロイド・フォンの出現を促し、ついには卓上のPCの売り上げを奪う迄に普及します。
ファイル化されたのは音声だけでは無く、動画も収められる様になり、やがて動画をライブ配信できる迄に進化します。ほぼどうじきにたんじょうしたどうがサイトのYOUTUBEやSNSのFACEBOOKと共に,コミュニケーションのツールとしても広く普及したメディアとしてもかかせない存在になりつつあります。
音声通話より有効な手段としての本領を発揮したのが東日本大震災でした。なかなか繋がらない音声通話に比べて限られた文字列を送るだけのパケット通信は、回線使用が増えた局面でも辛うじて通信可能だったため、ツイッターが非常時の有効なツールとして認識されました。

報道の現場でも、その場所に居あわせた視聴者が撮影した投稿画面がニュース番組を飾る場面がひと際多くなってきました。カメラマンが機材を揃えて現場に急行するより遥かに速く、あちこちで撮影された津波の生々しい映像が繰り返しニュースで流れたばかりか,アーカイブとして何年かのちでも繰り返し見る事が出来ます。一方的に送り続けるばかりだったブロードキャストと誰もが発信者になり得るネット・メディアの共存関係が築かれたのは、I-podに始まる製品群があればこそ、それこそ文化のみならず生活さえも変えてしまった感があります。

| 21:52 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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