2013年07月14日

アシアナ航空機事故(続報2)

サンフランシスコ国際空港でアシアナ航空の
ボーイング777-200ERが着陸失敗事故を
起こしてから13日で一週間がたちました。

この間に重体だった中国人女子生徒1人が
死亡し、死者は3人、180人以上が負傷しま
した。

事故原因については現在、NTSB=アメリカ
国家運輸安全委員会が調査を進めていますが、
調査の結果を積極的に情報公開するNTSBと
初期の公表には同意できないとする国際航空機
操縦士協会との間で場外バトルが始まるなど、
これまでの航空機事故調査ではあまり見られない
展開となっています。

NTSBのハースマン委員長は、「誤った情報を外部
で作らせないようにするため、正確な情報をオンタイム
で流している」と説明していますが、一方で、分析
されていない部分的なデータの公開は、誤った結論
を導きかねないとの批判もあります。

短時間に憶測が憶測を招くようなネットワーク社会に
あっては、NTSBの姿勢は評価されてしかるべきだ
と思いますが、情報の受けての立場の我々としても
慎重な姿勢が求められます。

ところで、今回の事故では緊急の際に乗客乗員が
機外に脱出するための脱出シュートが2つほど客室
内に展張し、客室乗務員が機内食用のナイフで
穴を開けて脱出口を確保するという事態が起きました。

通常、脱出シュートは緊急の際はドアから地上に展張
するはずですが、今回のケースでは事故後、車輪が
脱落し胴体着陸の状態で停止したため、地上とドア
との高低差があまり無かったことが影響しているようです。

脱出シュートは、それぞれのドアの下の部分に収納
されています。
緊急脱出の際は、シュートの基部が胴体側のドア部分
の下にあるフックに固定され、ドアを開くとシュートがドア
部分から外れ、それと同時に圧搾空気によって一気に
展張するようになっています。

通常、車輪がある場合は地上とドアとの高低差は5~
6メートル(機種によって異なりますが)あり、シュートは
地上に向かって展張します。

ところが、今回のケースは車輪が脱落した分、ドアと
地上との高さが1~2メートルだったと見られ、客室
乗務員がドアを開けた瞬間に一部シュートの先端が
地上で跳ね返って偶然、機内に入り込み客室内に
広がってしまったと考えられます。

偶然とは言え、脱出口が塞がってしまうわけで、客室
乗務員の迅速な対応は評価されてしかるべきだと
思います。

では、通常、離着陸時にドアを開けるのにどうして脱出
シュートが飛び出ないのかと思われるかもしれませんが、
これが、出発到着の時に機内に流れる「客室乗務員はドア
ノブを所定位置に移動して下さい」というアナウンスに
つながります。

飛行機を利用される方は、ドアの内側(客室内)には
大きな取っ手が付いているのにお気付きだと思いますが、
これを動かすことによって、脱出シュートを可動の状態に
設定したり解除したりしているのです。

ですから、この操作を忘れると万一事故が起きた場合、
大変なことになります。

日々利用する飛行機には乗客の安全を第一に様々な
工夫がなされていますが、乗客の側にも安全対策が
求められるのがこの脱出シュートです。

脱出の際は、両手を水平に広げてバランスを保ち、足を
まっすぐに閉じて勢いよくジャンプしお尻からシュートに
着地するように指示されています。
これは迅速な脱出を図るための方法で、間違っても最初
からお尻をつけて滑るようなことはしないで下さい。

全ての飛行機は、それぞれのドアから90秒以内に脱出
出来る設計でないと製造許可は下りません。
これは、ジャンボ機でもエアバスA380でも同じです。
これで、大きな飛行機には普段使わないのにドアが沢山
付いている理由がお分かりいただけたと思います。


| 10:15 | コメント(2) | カテゴリー:田中穂蓄

コメント

田中さん、おはようございます。
迅速な情報公開・報道姿勢は共感・賛同しますが、憶測の非常に速いスピードの拡散、断片的な情報の偶然・恣意的な操作による悪い広まりなど不安も多いです・・・
自分は、変わらず慎重に隅々まで検証された調査結果を待ちたいです。
田中さん、今回脱出時の心得、大変勉強になりました。
まさに知らない事ばかり、大変勉強になりました、ありがとうございます。

投稿者 ちなみん : 2013年7月14日 11:23

ちなみんさん、ありがとうございます。
幸い私には脱出シュートの経験はありませんが、あらかじめ経験することも出来ず、遭遇したらかなりの勇気が必要でしょうね!
脱出シュートは使われないことが一番です。

投稿者 ホヅミ : 2013年7月16日 13:22

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