2009年02月15日

飛行機の防寒対策

「ハドソン川の奇跡」が報じられたのも束の間、
今度はコンチネンタル航空のDHC-8Q400が、
アメリカ東部のバッファロー郊外住宅地に墜落し、
犠牲者が出てしてしまいました。

事故原因を調査するNTSBは、目撃証言から
「機体が大きくバンクした後、コントロール不能に
なって墜落した」と発表しています。

墜落機体からは、フライトレコーダーや
ボイスレコーダーが回収されており、解析が
行われていますが、事故原因の可能性の
一つとして「着氷」が浮かび上がってきました。

着氷とは読んで字のごとく機体に氷が付着
してしまうことです。

気温が氷点下の空を飛ぶ飛行機にとって、
着氷は大敵です。

氷が付着するのは、主に主翼や水平尾翼、
垂直尾翼の前縁部分、コックピットの
ウインドシールド、ピトー管、エンジンの空気
取り入れ口、プロペラのブレードなどの部分ですが、
いずれの部分も着氷すると、飛行機は重大な事態に
直面します。

このため、飛行機には着氷を防止する防氷装置や
着氷した氷を取り除く除氷装置が組み込まれています。

ウインドシールドやピトー管(飛行機のスピードを測定
するセンサーの部分で、主に機首に取り付けられている
針状の部品です)などは、電熱を利用した防氷装置で、
翼の前縁部はエンジンからの高熱高圧のブリードエアを
利用しています。

ちょっと古い飛行機では翼の前縁部分にブーツと呼ばれる
ゴム製の部品が取り付けられており、このゴム製の
ブーツを膨らませることによって付着した氷を砕き落として
いました。

空港などで、翼の前縁部分が黒くなっている飛行機を
見かけますが、これがその装置です。

氷が翼に付着するとなぜ怖いのか・・・・・・
もちろん重たくなってしまうというのもありますが、
それより、翼は機体に揚力を発生させる重要な部分で
空気が淀みなく流れるように表面は滑らかになっています。

ところが、氷が付くと空気の流れが阻害され、飛行機は
急速に揚力を失います。

着氷はいったん発生するとあっという間に増大すると
言われています。

そのために最新の旅客機では、センサーが着氷を感知
すると自動的に防氷装置が作動するシステムが
採用されています。

エンジンのブリードエアを利用する装置については、
エンジンの効率が低下することから、航空会社に
よっては離陸時の使用を制限しているケースも
あるようです。

このため、ボーイング社が開発中の787では、
ブリードエア方式を廃止して、最新の電力供給能力を
搭載したシステムを採用しています。

では、防氷装置の付いていない一部の小型機や
昔の飛行機はどうしていたのでしょうか・・・・・

答えは簡単で、氷が解ける地上付近まで降下して
氷が自然にとけるのを待って、再び上昇していたのです。

このように冷たい空を飛ぶ飛行機には様々な防寒の
知恵が詰込まれているのです。

コンチネンタル航空機の大きなバンクは、果たして
着氷による機体の急激な揚力低下によるもの
なのでしょうか・・・・・・

| 09:00 | コメント(1) | カテゴリー:田中穂蓄

コメント

田中さん、お疲れさまです。
とまるさんや天谷さんのニュースでお伺いし、田中さんの解説をお待ちしていました・・・
「ハドソン川の奇跡」が鮮烈で、詳細が判る度に、その価値ある要因・軌跡に感動していたのですが・・・
まだ原因の一端が少し見えただけのようですが、車でも寒冷地では起こるでしょうし、冬は特に危険性が増加しますね。
今即断は危険でしょうが、本当に残念です・・・

投稿者 ちなみん : 2009年2月15日 11:12

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