2007年09月07日
私のラジオデイズ17
テレビがまだ無かった時代、戦後しばらくの間、
ラジオは映画とともに娯楽の中心でした。
聴覚だけに訴える音声メディアは、無限の想像力を
掻き立てました。
当時、昭和30年代のころ、
NHKのラジオ番組に「架空実況放送」というものが
ありました。
歴史上の有名な出来事を、あたかも今起きているかの
ように、アナウンサーがインタビューを交えながら
実況放送を行なうのです。
しかも、この放送はNHK第一とNHK第二を使用する
疑似ステレオ放送だったのです。(記憶違いだったら
ご免なさい)
今でも強烈な印象として残っているのは、「関ヶ原の合戦」と
「タイタニック号の最期」です。
アナウンサーが「いよいよ関ヶ原の合戦の火蓋が切られました。
果たして、西軍、東軍どちらに軍配が上がるのでしょうか?
ではここで、西軍の総大将、石田三成さんに戦いに臨む
意気込みを伺ってみましょう」なんてことを言いながら、
現場の緊迫感を伝えるのです。
「タイタニック号の最期」も、「いよいよ豪華客船の最期の時が
やってきました。船上ではオーケストラのメンバーによる
別れの曲が静かに流れています。では、皆さんさようなら・・・・」
こんな調子で、臨場感を盛り上げるのです。
私はこの番組が大好きで、放送のある時は必ず2台のラジオを
セットして、夢中になって耳を傾けました。
(当時のラジオは雑音が多く、聴き取るのが大変でした)
この放送はレギュラーの放送ではなく、スペシャルものとして
時々の放送でしたから、放送日が待ち遠しくて
仕方ありませんでした。
効果音をふんだんに使って、時空を超えた異次元の世界に
リスナーを誘った、当時の番組スタッフのセンスに脱帽です。
番組の生みの親、放送劇作家の西澤實先生にも
感謝、感謝です。
ラジオがこんなにも楽しかった時代があったのです。
「架空実況放送」、今でも十分楽しめる番組だと思いますが、
版権で問題なければJ-WAVEでもやってみたらどうでしょう。