2007年04月10日
私のラジオデイズ10
かつてラジオの世界に竹脇昌作という
伝説のアナウンサーがいました。
ラジオ東京(現TBS)のアナウンサーとしての
絶頂期、彼は突然この世から姿を消します。
竹脇昌作がパーソナリティーを務める
「東京ダイヤル」がラジオ東京でスタートしたのは
私が中学1年の頃でした。
「東京ダイヤル」というと、若い方は「若山弦蔵の
東京ダイヤル954」を思い浮かべるかも知れませんが、
それよりずっと以前にこのタイトルの番組はあったのです。
「東芝提供、東京ダイヤル!」で始まるこの番組は、
ラジオ番組史上初の音楽とニュースが一緒になった
ニュース情報番組でした。
それまでラジオ番組は、歌謡曲やポピュラー、ジャズ、
ラテンなどの音楽ジャンルごとに番組が分かれており、
ニュースはニュース枠で放送するのが常識でした。
ところがこの「東京ダイヤル」は、その常識を覆し、
音楽とニュースを織り込んだ斬新なスタイルで人気を
集めました。
テーマ曲のタイトルは思い出せませんが、
フランク・シナトラのお抱えバンドだった
ネルソン・リドル楽団の演奏する軽快な曲でした。
私は学校から帰るとラジオのスイッチを入れ、
この番組を聴くのが日課になっていました。
今でも「東芝提供、東京ダイヤル」という竹脇昌作の
声が脳裏に染み付いています。
ところがある日突然、大好きだったあの声が
聴こえなくなってしまいました。
1959年3月の皇太子ご成婚の放送を最後に
番組を降板したのです。
それから間もなく、ラジオから彼の自殺を伝える
ニュースが流れました。
私の目からはどういう訳か、涙が溢れてきました。
それまで味わったことのない衝撃でした。
1959年11月9日、彼は49歳の若さで自らの手で
この世を去りました。
私がアナウンサーという職業を漠然と意識したのは
竹脇昌作の死がきっかけでした。