2007年04月01日
ラジオデイズ9
民間放送の黎明期、ラジオではまだ耳なじみのない
アナウンサーが多かった中で、1人だけ(私の記憶では)
すでに大人気だったアナウンサーがいました。
その人の名は、「竹脇昌作」です。
もちろん、NHKには当時から藤倉修一、青木一雄、高橋圭三、
宮田 輝といった国民的な人気アナウンサーがいましたが、
誕生して間もない民放ラジオには、まだ人気アナウンサーは
育っておらず、NHKから独立してフリーになった
アナウンサーなどが活躍していました。
竹脇昌作さんもそんなNHK独立組の一人でした。
竹脇さんが注目を集めたのは、戦前戦後のニュース映画の
ナレーションを担当されてからです。
今では見られませんが、30年ほど前まで映画館では
本編の映画が始まる前にニュース映画を上映していました。
竹脇さんは主に「パラマウントニュース」や「読売国際ニュース」
などのニュース映画のナレーションを担当していました。
(竹脇さんの他には、TBSアナウンサーだった杉山慎太郎さん
などが担当していました)
竹脇さんのナレーションは、文章を短く区切る独特の節回しと
高低差のない低音で「マダムキラーボイス」と言われ、
一世を風靡しました。
私が子供の頃、ウォルト・ディズニーが初めて手がけた
ドキュメンタリー映画、「砂漠は生きている」が公開されました。
アメリカのアリゾナの砂漠(だと思います)に生息する
生き物たちの生態を音楽に乗せてコミカルに描いた作品で、
この映画のナレーションを竹脇さんが担当しました。
(数年前、テレビで放映された作品では別のナレーターでした)
私はこの映画に衝撃を受けました。
映像の新鮮さもさることながら、竹脇さんのナレーションに
衝撃をうけたのです。
いままで聴いたことのない独特のナレーションで、
以来、そのナレーションが私の耳から離れなくなりました。
学校に行くと、早速、その口調を真似して友だちに聞かせたり
しました。
当時、使っていた筆箱がセルロイド製で、この筆箱の蓋を
電話の受話器のように耳と口に当てて話しをすると
どういう訳か、ラジオから聞こえるアナウンサーの声に
なるのです。
私は子供の頃からこの筆箱で竹脇昌作の真似をしていました。
そして、私がアナウンサーに憧れる決定的な番組が
ラジオ東京(現TBS)でスタートしました。
この続きは次回のラジオデイズでお話ししましょう。