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2006年12月28日
第037回/鼻息大統領。
061228.jpg 個人ブログにもう掲載しちゃったけど、Podcast版TASKBARのリスナー向けサーヴィス写真です。ホントは「ましけ」って読むんですけどね。ワハハ本舗のスタッフがわざわざ買ってきてくれました(笑)。持つべきものは「いい仕事仲間」です、はい。
【渡辺祐秘密の小部屋】
http://d.hatena.ne.jp/
dothemonkey/
  JB逝く。しかも急死。その当日の思ひについては拙の個人ブログ「MAKE IT FUNKY!」にて記述済みであります。そちらをご参照願いたい。 【渡辺祐秘密の小部屋/MAKE IT FUNKY!】 http://d.hatena.ne.jp/dothemonkey/ http://d.hatena.ne.jp/dothemonkey/mobile

  なので、以下、ワタシが1999年11月に『SPARKLE』という今はなき女の子向けR&B(ファッション)誌に書いた「JBリスペクト原稿」です。本日(木曜日)はいろいろ時間くっちゃったこともあるのでコピペ再録。でもね、なかなかいい原稿ですよ(自画自賛)。ただし、長いよ。携帯読者の方、すいません!
*********************************
  ジェイムズ・ブラウン(以下JB)といば「鼻息」と「掛け声」である。なにしろ世界中のありとあらゆるダンス・フロアにてJBの鼻息と掛け声を聴かない夜はないんだから(たぶん)。だいたい人類の歴史を紐解いてもですよ、「ふん!」とか「はっ!」とか「へ!」とかいうだけの単なる鼻息をですよ、こんなに珍重されたヒトがいたでしょうか。筆者はDJでもカリスマ・プロデューサーでもないので定かではないが、レコーディングとかしてる時にね、「ここのブレイクで一発JB欲しくない?(語尾あがりぎみ)」とか言って、サンプラーにJBの鼻息だけ録ってスタジオの百万円ぐらいのスピーカーに「ふん!」とか言わせて「はーい、OKっす!」とか言ってるわけですよ。掛け声も「ゲロッパ!」とか「ヒッミッ!」とか「グッゴ!」とか「オッチミ!」とか、フツーじゃ意味わかんないんだから。どう考えても異常事態ですね、その現場。ついでに尋常じゃないという意味では、著作権というものが発明されたおかげで「世界で初めて鼻息で印税をもらった男」でもある。鼻息印税。

  私が初めてこの鼻息に接したのは、1970年代の初頭、深夜放送を聴いていた時のことである。恐らく糸居五郎さんの番組だったと思うが、当時ヒット中の「ホット・パンツ・パート1」か「アイ・ゴット・アンツ・イン・マイ・パンツ・パート1」か、なんかそういうのが流れてきたと思っていただきたい。それにしてもなんだろうね「私のパンツにアリがいます」。しかもありとあらゆる曲に「パート1」。どうかしてます。

  さて、この時。当時、中学生でキャロル・キングとかサイモンとガーファンクル(当時は「と」でした、「&」じゃなくて)とかを愛聴していた私には、今ひとつJBの凄さがピンと来なかったのである。ラジオで聴く限り、どこがAメロなんだかサビなんだかもわかんないし、歌詞っつっても「ふんご!」とか「ひえい!」とかにしか聴こえないし、たまにレコード屋さんでジャケット見ても凄い顔のオッサンだし、当時中学生で井上陽水とかサディスティック・ミカ・バンドとかを聴いていた中学生(好きなアイドルは相本久美子)の理解なんか遙かに超越した鼻息だったのである。

  そんな私が、鼻息の凄さに開眼したのは、70年代も中盤のこと。神奈川在住のメリットを生かして近所の米軍キャンプ周辺のディスコ(といってもだいたいは木造家屋)に出入りするようになってからである。特に大和市の「シルバースワン」という木造家屋ディスコで、JB がかかった瞬間、それまでなんかお気楽にもぞもぞ踊っていた一人のネイヴィーのお兄さん(もちろん黒人)が、いきなり猛烈なステップ(ファンキー・ブロードウェイっぽいカンジね)でぐいぐい踊りだした時は凄かった。

「(うひょおおおおおおおおおお)」

  と、当時、高校生だった私は、手にしたジンライム(それしか知らない)をこぼさないように、心の中で叫んだものである。その現場の空気ときたら、まさに、こう、感動が腰にくる、そんな感じ。

  こうして、ウイスコンシンとかノースキャロライナとか、いまだにどの辺なのかわかんないような州の出身の兵隊のお兄さんたちに「おまえは日本人の女の子をナンパしに来たのか? おい、そこのメガネ!」とか言われていじめられながらも、現場でJBの音楽としての凄さを体験した当時の私(好きな番組は「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」)に、次なる過酷な試練が待ち受けていた。

  80年代に入った頃、ソウル系飲み屋さんに置かれたモニターで動くJBを見てしまったのである。いや、もちろんそれまでにも映像は見たことはあったのだが、なにしろすでにあのダサダサのディスコ・ブームが到来していて、TVでも「ソウル・トレイン」終わっちゃってたし、今ひとつJBのライヴというのがどういうステージなのか記憶が曖昧になっていた。

  そこにですよ、歌いながら感極まってひざまづくJB、肩にかかる日常の使用にはまったく向いていないガウン、帰りそうになって、いやまだ歌うんだオレは、ガウンを脱ぎ捨ててマイクをつかむJB、おお、これぞハーデスト・ワーキングマン・イン・ショウビジネス!というですね(説明が長い)、あの有名なケープショウの映像を見たわけである。

  笑った。大笑いしました。そして、その店で私は新たな人生の課題を与えられたのである。

「私たちは、JBを見て笑ってもいいのか?」

  あんなに一生懸命なパフォーマンスにですよ、ゲラゲラ笑ってるんですから。それは失礼なことじゃないのか。でも笑っちゃうだろ、どう考えても。ああ、JBよ、どうしてこうも私を悩ませる。

  後年、オトナになった私は念願のハーレムはアポロシアターにおもむき、アマチュア・ナイトのステージでデカいアフロ・リーゼントのヅラをつけてJBのモノマネをする出演者に会場中が大笑いする様子を目撃することになる。もう、隣の席で爆笑してる黒人のお姉ちゃんにヒザをバシバシ叩かれちゃって「ほら、アンタ、見てる〜」とか言われる始末。なーんだ、NYの黒人も笑ってたんですね、とひと安心。それ以降は武道館であろうが代々木体育館であろうが、私はステージ上のJB本人に気づかれないのをいいことに、ずっと大笑い。こうなると白人のチアガールやバレリーナみたいなヒトを舞台に登場させる、あの臭い演出にも「ダサいなぁ」とか思いません。思っても口に出しません。楽しいったりゃありゃしないわけだから。

  かくして、ビデオという文明のおかげで60年代の映像も入手した今、私は40年の歳月を費やしてJBの凄さを骨の髄まで味あわせていただけるという、極上の20世紀を体験中なのである。

  常にふんばり気味にヒザを曲げてリズムを刻み続ける腰の入ったガニ股スタイル、大事な場面になると必ず後ろに倒れちゃうシャウトのポーズ、鼻息と掛け声、すり足とマイク倒し、JBの一挙手一投足がなにかの合図になってやしないかと不安そうなメンバーの目線……。今見ても凄いんだから60年代にどんだけ独特だったことやら。ヒップホップのバックトラックに使われる鼻息と掛け声は、そんな「存在感の全部」をリスペクトするココロ、なんですね、きっと。(1999年11月)

今週の渡辺(RADIO LOVERS)推奨物件
061228_00.jpg 渚ようこ×半田健人
CD「かっこいいブーガルー」
(TAKUMI NOTE/テイチク)
今日はゲストに半田健人さん登場!
言わずと知れたCKBの名曲をデュエット・カヴァー!
公式サイト
061228_01.jpg DVD『ジェームス・ブラウン ライヴ・イン・ベルリン』
(ユニバーサル)
JBはやっぱライヴ!1988年の映像、出汁濃厚!
「リヴィニナメリカ」で一線に戻った感バリバリの時ですぜ。腹は出てるけど、足さばきもバンドの仕切りも気合いも健在。名刺を!パーカーもいます!
061228_02.jpg DVD『THE HISTORY OF ROCK'N'ROLL DISC2』
(ワーナーホームビデオ)
シリーズもののバラ売りDVD(このDISC2がソウル編)。
60年代のすり足上等なすげえJBが見られます。他にも貴重なソウル・アーティストの映像&インタビュー満載。
061228_03.jpgDVD『IT'S BLACK ENTERTAINMENT』
(ナウオンメディア)
以前にも紹介しましたソウル史DVD。ソウルファン必携ものです。JBももちろん登場!

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TASK BAR blog staff | 21:36 | カテゴリー:TASK BAR


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