2021年05月28日

社長の流儀

水素カローラの24時間参戦が大きく話題になっていた頃、大陸の向こう側ではもうひとつのニュースが・・・WRC世界ラリー選手権第4戦ポルトガルで、トヨタのヤリスが再び凱歌をあげました。ポイントランキングでもトップ快走中、まあ今年の王者も確実でしょう。

Dsc_7073


(写真は2019仕様)
グラベル(未舗装路)が中心となるラリーらしい今回のコース、優勝のヤリスは水素カローラ同様四駆ターボの旧型モデル市販車がベース。ただし使用燃料はガソリンですが。
このWRCヤリスにしてもスープラの復活にしても、豊田章男社長が決断に大きくかかわっていることは既知のとおり。そこまでモータースポーツ好きの社長なんか?と訝る向きもおありでしょうが、違うと思います。

これまでのトヨタが日本の他メーカーを大きく引き離して活躍していることは誰の目にも明らかです。でもホンダに対してただひとつ負けているポイントがあります。それは本田宗一郎氏に象徴されるカリスマ性とモータースポーツにおける伝説です。

自動車レースの最高峰に君臨するF1を何度も制覇した実績はもちろん、そのレーシングスピリットには常にホンダ・宗一郎イズムが息づいているのです。それが市販車にもタイプRのような形で投影され、根強いホンダ・ファンはトヨタとしても垂涎の的。
ゆえにF1参戦も果たし,NSXを超える超スーパースポーツ,LF-Aも市販した。

しかし、まだまだホンダの持つカリスマ性を手に入れられない・・・・・・社長に就任時のモリゾウは、おそらく自分の手でホンダファンに負けないトヨタファンを増やそうと決意したに違いありません。だから売れないとは分かっていてもハチロク、スープラを商品化し、積極的にレースにも参加。そうした自身の行動がいつしかカリスマ的存在として認知されるようになり、トヨタが長年欲していた伝説的なリーダーに自ら名乗りを上げようとしているのではないか?

ひょっとしたら社長業よりも長いレーシングドライバーとしての血が騒いでいるだけなのかもしれません。が、トヨタのために今何が必要か?未来のトヨタには何が必要かを常日頃考えている社長にとっては、クルマ好きの若年層を増やしておくことも重要な経営戦略の一端です。

クラウンもユーザー層が年齢を取りすぎ、カローラも同様にユーザーたちが年とったらクラウンと同じ末路を辿るかもしれません。だから今度のカローラでは5ナンバー枠も超えて若々しさをことさら強調する印象を与えています。

工場レイアウトまで新設して、フェラーリの様なこだわりのクルマ作りをGRヤリスという安価なクルマで実現したのも、新たなビジネスモデルの構築を目指した歴史的転換点といえるでしょう。細部にわたって精度、味付けにこだわる姿勢はトヨタ版GT-Rを育てているかのようにも映ります。

本田宗一郎の顔と名前を知らない若者でも、モリゾウの活躍は知っている、そんな若い人たちが増えてトヨタの販売店に誘うことが出来たなら、それこそ社長の目論みどおりの展開なのかもしれません・・・・・

| 10:30 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

コメント

■コメントはこちらへ


保存しますか?
(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)


2021年 5月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

バックナンバー

カテゴリー