2021年05月14日

プログレ発売から23年

きょう5月14日はトヨタ・プログレが発売された日。一世代のみで姿を消した異端の乗用車でした。

初お目見えしたのは前年97年のモーターショー、この回ではプリウスの発売があったり、ヴィッツの原型プロトタイプが発表されていたり、新時代へ向けての端境期にあった、印象的なショーでした。ほかに5ナンバーサイズの車体にクラウンの足回りと直列6気筒エンジンを詰め込んだNC250というプロトタイプの展示も・・・・

これが98年にプログレとして商品化されたトヨタの高級小型車です。
当時の自動車マーケットはHONDAオデッセイの大ヒットでミニバンブームに火がつき始めた頃。プリウスがハイブリッドカーだと知っている日本人もまだまだ少数でした。
当時のトヨタは21世紀のクルマ作りを模索し始めた頃で、従来のクルマのレイアウトを積極的に改革しようとする姿勢が見られました。

新しいセダンのプログレはコロナと同じくらいのサイズにクラウン並みの乗り心地と質感を求めたクルマで、お値段は少々高め。今だったらレクサスの仲間入りできそうな存在でした。足回りは当時の5ナンバークラウンと同等、エンジンはスムーズこの上ない6気筒エンジンで日本版BMW3シリーズかと思わせるスペックでした。

クラウンはいい車だけどサイズが大きくて、と尻込みする顧客にもアピールする目論みだったでしょう。しかし、日本には厳然とした大きい車のほうが偉い、というヒエラルキーがはっきりと残っており、小さいのに高級な車が売れる素地が出来ていませんでした。

海外に目を向ければ大衆車クラスの小型車に本皮シートや豪華な内装を奢ったヴァンデンプラスプリンセスのような好例もあっただけに、日本のマーケットはまだまだ発展途上の印象が拭えません。この法則は十年後に登場する画期的なマイクロカー=トヨタiQでも繰り返されてしまいます。

今日でもたまに手入れの行き届いたプログレを目にしますが、これに代わる存在がもう無いのも悲しい事実。もしもプログレを手に入れていたら、毎日をゆとりのあるリッチな気分で過ごせていたかもしれません。

噂ではトヨタにも直列6気筒の後輪駆動が復活するのでは?と嬉しい予測もありますが、今開発されているとすれば後輪駆動のEVセダンか4気筒ハイブリッドのレクサスがせいぜいでしょう。水素で回るエンジンが光明を見出せたら話は別ですが・・・

同じく97年ショーで発表のMR-Sも後が続かなかったミッドシップオープンエアが楽しめる貴重な一台、今でも手に入れたくなる魅力的な一台でした。

| 09:13 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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