2021年01月26日

さらば夜行

ヨンサントオ、と聞けば古株鉄道ファンならピンと来るはず!
大規模な国鉄ダイヤの大改正が行われた昭和43年10月、世界でも例を見ない電車特急が姿を現しました。俗に金星型と呼ばれた新型車両は三段寝台列車として運行だ着るだけで無く、昼間も特急電車として運用できるという両刀使いが最大の特徴でした。

特急金星が発車するのは主に京都駅、新幹線関西と九州を結ぶ夜行は新幹線の遅い便と合わせて関東圏の客にも利用できると目論んだものでした。

夜間のみで運用を終え、昼間は車庫に眠るのが寝台車両、でしたが581は昼間も寝台を格納して座席特急となって収益拡大に貢献したものです。

東北本線、常磐線にも583系として増備され、主にはつかりなどの特急運用に就きます。東京大阪間でなかなか見られなかったのは既にブルートレインが拡充していたから。非電化区間を直通するブルトレが多かったことも一因です。

はつかり時代には良く愛用しましたが昼間の特急なのに座席は急行と同じ向かい合わせのボックスタイプ。同僚たちの様にシートをリクライニングにすることもできず、お弁当を載せたくても大きなテーブルがセットできません。

ブルートレインは程なく、よりスペースの広い二段式が主流になり、狭い三段のままの金星型はその後は増備されることも無く、数を減らしていきます。

最後の定期運用は急行きたぐにとしての大阪、新潟間夜行列車でした。グリーン車も座席車も選べる豪華急行編成です。では、三段寝台に乗り込んでみましょう。上段、中段は幅も狭く起き上がると頭をぶつける歴史的な狭さ!

それでも細長い20センチくらいの小窓から覗いた北陸の雪景色がだんだんと積雪を増していく様子が楽しかったものです。下段やパンタグラフ下の寝台は高さもまあまあ、もっとも近年の個室ソロなどに比べたらプライバシーも遮音もカーテン一枚きりなので時代遅れ感も拭えません。

やがて車両も余り気味となって寝台を格納固定した上、普通列車に格下げ。不足した運転台を無理やり付け足した先頭車には食パンのあだ名を命名され、異様に天井の高い各駅停車として個性を発揮していました。

今では臨時運用に就くこともなく廃車が進んでいますが、遂に後継者の現れる時がきました。電車寝台二代目、サンライズ出雲、瀬戸の登場です。個室寝台や安価なカーペット車を揃えた21世紀型の寝台です。ただ、昼間の運用には就かない夜行専用。九州や東北に足を延ばすことは無く直流電化区間のみ走れる限定的な用途です。

座席グリーン車も食堂車もあった金星の頃とはちがい、夜間移動の主流は高速バスに。新幹線網だって見違えるほど増えた現代は、もはや昼夜連続で鉄道に乗るという概念を過去のものとしようとしているのかもしれません。

東海道スジで永らく青春18切符の友だったムーンライトながら、昔の327M大垣夜行も過去のものとなってしまった、ちょっと寂しい春になりそうです。

| 23:59 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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