2021年01月04日

もう一人の渋沢栄一

明治期初頭の動乱期、廃藩置県で職なしとなった下級武士たちの中には慣れない商売に手を出す輩も少なからずいた。四男に生まれて家督も相続できず、慣れない京都の暮らしもこれと言って食い扶持が見つかるじゃ無し、

そんな新太郎がふと目にした石油ランプ。その将来性を信じて燃料輸入代理と卸し商売を思いつく。予想を超える商売の大当たり!だがそれも束の間、電灯ランプを見つけるや商売をさっさと畳んで一路ハワイへ!ありったけの陶磁器販売で大儲け!

が、売れるネタが底をついたら今度は日本の軽業師を呼び寄せて曲芸興行に

これがまた評判を呼んで遂にはサンフランシスコ上陸!しかしながら現地の悪徳興行師に騙されてあっという間に一文無し。ホテル代はおろか帰りの旅費もままならない一大窮地に!どうする新太郎!絶体絶命の危機をどう乗り越える?

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日本に戻り貸金業を生業としていた数年後の新太郎の元に松太郎と竹次郎の兄弟が現れる。ショービジネスに並々ならぬ情熱を傾ける2人の背中を押すと新太郎。やがて兄弟は其々の頭文字を一字づつ松と竹を興行グループのネーミングに戴いて‥

新太郎の意中には同じく侍から事業家への転身を成功させた渋沢栄一のある言葉が深く刻み込まれていた!

日本にもブロードウェイ並みのエンターテイメント産業を!破天荒な行動哲学と挫けることを知らないバイタリティは逆境に喘ぐ現代から見ればおとぎ話なのだろうか?あるいはこれから新太郎のようなイノベーターが現れるのか?


日経BPから刊行された異色のビジネス伝記?
明治初期の世相と合わせて一人の男のワンマンズドリームを描いた作品
快男児、日本エンタメの黎明期を支えた男、高橋銀次郎著はこんな時期だからこそ読んでおきたい一冊です

| 20:26 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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