2020年03月08日

fukushima50

まもなく、あの震災から丸九年。そんなタイミングで公開されたのがフクシマ50、福島第一原発を舞台にした実話ストーリーです。
「ホワイトアウト」「空母いぶき」などフィクション大作を手掛けた若松節朗監督による力作で、そのリアルさと迫真の演技に圧倒されました。


震災の翌日から、報道で断片的に伝えられた原発の大事故。実際にはあの時、現場で何が起きていたのか?誰がどんな思いで危機を回避しようと必死に頑張っていたのか?
原作者は実在の福島第一所長で闘病の末に亡くなられた吉田 昌郎(よしだ まさお)さんに長時間インタビューを敢行し、詳細な事実を解明しました。

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『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』原作者=門田 隆将KADOTA Ryūshō の強い要望で吉田所長を演じるのは渡辺謙に決定、あとはどうスケジュールの折り合いをつけるかが問題でした。

作品は「東電力」の物語とされていますが吉田所長は実名で登場し、ほぼ事実に沿った展開。映画作品として結末をどう盛り上げるのか?という問題もありますが
脇を固めるのは火野正平、富田靖子、吉岡秀隆に吉岡里帆、さらにはダニエル・カール、泉谷しげる、佐野史郎、佐藤浩市と言った実力派ばかり。渾身の演技で魅せてくれます。
米軍基地での撮影には実機のヘリやホンモノの米兵たちもエキストラ参加する贅沢さです。

結果的には膨大な放射性物質を大気中に放出する惨事となりましたが、もしも放出を躊躇って原子炉格納容器が一つでも破損したらもう彼らフクシマ50の出番は無くなります。
というか日本が原発から半径250km以内は人間の住めないエリアとそれ以外の二つのパートに分断されてしまう。そうならなかったのは運が良かっただけなのか?誰の功績だったのか。

・・・重要な局面を迎えた場合の政権や企業トップの対応の仕方も大いに考えさせられる作品でもあります。言わずもがな今回の新型肺炎禍への対応でも同様なことが繰り返されなければいいんですが

映画観賞前にちょっとおさらい


水素(ガス)爆発
原子炉の外側で起きた水素ガスの爆発事故で1号機と3号機に発生。水素が発生したのは核燃料棒を包んでいるジルコニウムと外側の冷却水が異常な高温で化学反応した結果生まれたものが原子炉建屋の天井裏に堆積して外壁を吹き飛ばす爆発(急速な酸化)を起こした。

免震重要棟(現地対策:円卓)
渡辺謙演じる吉田所長が詰めている場所。原子炉建屋から離れた内陸側にあって電源も別系統。本店の対策本部とはテレビ電話のホットラインで常時繋がっている

中操=「1、2号中操」(中央制御室)
佐藤浩市が宿直長を務めた場所。地下の自家発電機が津波で水没しSBOステーションブラックアウト、全機能喪失に陥って各種計器類のデータも読めなくなった。

ドライウェル
原子炉圧力容器を包み込むフラスコ型の格納容器の部分を指す。ここの圧力が異常に高まると(損傷する)危険

サプレッションチェンバ
↑原子炉格納容器の下にドーナツ状に広がる水の溜まったトンネル状のプール。二号機の大量放射性物質漏洩の出所はここ

| 11:01 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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