2019年07月24日

着水のあと

人類最初の月着陸を果たしたアポロ11号のミッションは最後の重要な一つを残すだけ、3人の宇宙飛行士を無事に地球に還すこと。家に帰るまでがミッションです。司令船は月をあとにして、拾って来た月の石と撮影フィルムを忘れずに持ち帰れば大成功です。

Imgp3797機械船を切り離した司令船カプセルは多少の誤差があっても大丈夫な広い太平洋上で空母ホーネットに回収され、3人の宇宙飛行士はキャンピング・カーのような設備にしばらく隔離されました。もし万が一宇宙から見知らぬ細菌を持ち込んでしまっていたら、という配慮でしたがそれも半月後には無罪放免。ニューヨークでの大パレード・銀座での大パレードが待っています。

月の石も月面で撮影されたフィルムもすぐさま回収され、ハワイに空輸されます。月の石の1つはやがて日本にも運ばれ、翌年の1970大阪万博・アメリカ館に展示されます。この時のアメリカ館は日本で最初のエアドーム式、18年後には後楽園にもとてもよく似たホールが完成し、野球もポールマッカートニーのコンサートも出来るようになりました。NASAが開発した様々なテクノロジーは生活のあらゆる分野で応用され、広告コピーにも二言目にはNASAが開発した、の文字が躍ったものです。

次のアポロ12号、1つ置いて14号とアポロ計画は月への往復を続けましたが17号(1972)までで月への使者は途絶えています。以来47年も人類は月とご無沙汰です。最大の理由は?もう、行っちゃったから。
61年のケネディ演説以来、アメリカは威信をかけて月着陸を成功させましたが疑問視する向きも当然ありました。国民の関心も薄れ始め予算の獲得も難しくなって行きます。宇宙からのTV中継も次第に関心を呼ばなくなる反面、政府は増大するベトナム戦争の戦費も割かなければなりません。

アポロ計画が終了した後、アメリカの宇宙開発はソ連と手を組みアポロ司令船をロシアの宇宙船とドッキングさせるスペース・ラボ計画に移行します。それ以降は30年近く宇宙往還機として活躍したスペースシャトル計画も終了。有人宇宙開発は地上からせいぜい数百kmの範囲での実験や研究がメインとなって現在に至っています。

コストをかけて宇宙に赴き、何のメリットがあるのか?最も分かりやすい答えの1つは軍事利用でしょう。007の映画では既に70年代の始めにとっくに描かれています。

もう一つは平和利用、今の国際宇宙ステーションは米露の協業ですが、プロジェクトには日本を始め多くの国が参加し、もはや宇宙には国境は存在していません。

| 15:00 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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