2019年03月10日

錆びないダンディズム

ニューメキシコ州に向かうフリーウェイをおろしたてのフォード・リンカーン:=ダブルキャブ・ピックアップで疾走するイーストウッド。エンジン回転はずっと変わらず、FMラジオのチューニングだけが距離と共にめまぐるしく変わる・・・・行く先々ではオンナ呼んで、ニャンニャンタイム・・・・・こんな撮影だったら一生終わらなくってもいい!とイーストウッド監督が言ったかどうかは定かではないのが監督・主演した最新作『運び屋』、原題: The Muleです。
麻薬犬がすぐ近くまで迫っているのに・・・・とか、組織のボスが銃殺されて指揮命令系統が一変...観ているこっちがハラハラし通しなのに、イーストウッド爺さんは延々、呑気に歌いながらドライブ。

主演した前作映画「Gran Torino (2011)」ではワルイ奴らを向こうに回して、最後の数分でオトコのダンディズムを見せつけてくれた、かつてのキャラハン刑事。今度はワルイ仲間たちとどう対峙してどんな結末を迎えるのか?新車のダブルキャブピックアップの命運と共に最後まで気になる展開です。
彼の私生活や家族構成を知っているマニアにはセリフの一つ一つが自らの生き方を振り返っているかのようでもあり、劇中久々に娘を演じている実娘アリソンの言葉にも妙なリアリティが感じられます。
実在の人物がモデルとはいえ、イーストウッド自身を限りなく投影させた主人公「家族が何よりも大切」と語ります。捜査官を相手になにげに口にしたこの言葉が、あるいは運び屋の運命を大きく変えたのかもしれません。ラストシーンでも、「お金があれば何でも買える。でも時間だけは買えなかった」としみじみ語るそのセリフは、あるいはまだまだ映画作りにもっと時間が欲しい、というメッセージなのではないかと勝手に勘ぐってみたりします。

それはそうと、ハーレーダビッドソンでツーリングを楽しむ芸の集団にエンジントラブル解決のコツを伝授したり、前作のフェアレーングラントリノ、リンカーン・ダブルキャブ・ピックアップにオンボロのフォードFトラック・・・・・プライベートでも10年落ちの旧いフォード車を愛用するなどクルマ愛の片鱗も垣間見られるのが心地よい映画です

| 16:59 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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