2017年11月18日

日展2

新国立美術館で開催中の日展、主なものには絵画、彫刻、書、工芸などがありますがやはり展示作品の多さでは絵画が筆頭でしょう。テーマも千差万別、片っ端からガン見するとかなり疲れそうです・・・・・
個人的に興味を惹くものだけピックアップしてみただけでも、今回かなりインパクトを受けました。裸婦像ばかり見ていたので着衣の女性の姿が新鮮です(苦笑)やはり男性と女性で描く女性のニュアンスが微妙に違います。けれども例外もあるもので二人の舞妓はんの何気ない仕草を描いた作品「秋宵」はお粉を塗った顔の鮮やかな発色がとってもビビッドで、輝いていたのが印象的です。絵葉書や写真にもなっていますが現物を見ると明らかに印刷インクや32進法では再現できない鮮やかさが存在するのがわかります。写真表現を超えた、とでも言えばいいでしょうか。ホンモノの迫力すら感じました。
プリント柄のワンピースで横たわる若い女性を描いた「静かな時間」も印象的な作品です。写真で言えばソフトフォーカスレンズに、フォトショップでコントラストをロー側に振って・・・・やって出来なくもなさそうですが、これもリアリティ溢れた生々しい作品です。写真にしてみるとこのソフトな感触がなかなか伝わりづらく、ここでも写真表現の限界を感じずにはいられませんでした。単に色の明暗、三原色の配合だけでは再現できない「何か」が絵画の世界にはあるようです。奥が深い!
人物像だけではありません。風景画の中にもハッとさせられる作品が何点もあります。雪景色のローカル線駅を俯瞰で眺めた一枚、駅の先にあるカーブの向こうに集落が10数軒、中には小さな検車区と思しき車庫と古い形式の車両が覗いています。単線なのかホームは一面、待避線と思しきレールが並行してあり、あるいはここが終着駅なのかも。白い絵の具で描かれた雪の質感が妙に生々しくて独特の輝きを放っています。この生々しい感触もやはり現物を前にしてみないと伝わってきません。構図も旅愁をさそう、気になる一枚です。
静物を描いた作品の中には飛行機の発着風景を描いたものもあったり、必ずしも果物かごの中身ばかりとは限りませんが、レーサーレプリカのバイクを描いた作品はインパクトがありました。カタログ写真のように正確なディテール、質感も写真のように忠実に表現されていますが背景や構図には絵画ならではの個性もあって何故か見逃せないインパクトを与えています。これだったら自分でもひとつ挑戦してみようか!と思わせてくれるユニークな作品。今後は日展に登場するバイクも増えて来るでしょうか???

無限に広がる色彩の世界を0と1に刻むデジタル写真と違って、無限の組み合わせから選べる色彩の鮮やかさ、インパクトは想像を絶するものがありました。写真よりもリアルで、本当にそこに存在しているかのような質感を感じさせるものがいくつもあったり・・・・絵画の奥深さを改めて思い知る機会となった日展鑑賞の一日でした。(土日以外は撮影可)12月10日(日)まで開催中 六本木・国立新美術館にて

| 18:32 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦


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