2015年01月19日

モノをいう舌

 ニッカウヰスキーの創始者で日本のスコッチウィスキー作りのパイオニア、竹鶴政孝の生涯を描いた連続ドラマ、マッサン。今週から物語の舞台はいよいよ北海道・余市に移り、妻エリーを演じる女優、シャーロットの髪型もグッと大人っぽく変化しています。

 最初に山崎工場で誕生した国産ウィスキーの第1号は「白札」今でもサントリーホワイトとして現存しています。当時の味わいそのままとは言えないようですが、文字通りのロングセラーに。一方、今も人気の角瓶は1937年の発売で、既にマッサンは北海道にわたってのちのことでした。劇中でマッサンが大阪を離れたのは、より自分の理想を追求するためと描かれていますが、売れ残った原酒が豊富にあったことも幸いし、時流にものって大ヒットしたのだとか。今でも簡単に店頭で見つけることができます。じゃあ、早速ひとつ味見と行きましょうか・・・・・・

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 他のスコッチ系と比べて若干薄い色に感じます。グラスに注いだ時の芳香も強い方ではありません。日頃ニッカを飲み慣れているからか、やはり薄味に感じてしまいます。薄めないでロックで飲んだらちょうど良いコクと味わいなのかも。
 サントリー創業者の鳥井信治郎がこだわった日本人の舌に合うテイストが、これだったのかもしれまん。ドラマの中では堤真一が演じて好評の「大将」でしたが、実際の鳥居社長は誰にも負けないブレンダーとしての技量を持っていたそうです。丁稚奉公から身を起こし、ワインの調合で大成功、財を成してウィスキー作りという難事業に挑みます。
 本場スコットランドでウィスキー作りを体得したマッサンとは考え方もマーケティングも異なります。マッサンが作り上げた国産第一号・白札が鳴かず飛ばずで、大将がブレンドした角瓶が大当たりしたのも、大将のブレンダーとしての技量、マーケティングが的確だったことの証です。
 一方のニッカは経営危機に直面しながらも、独特の味わいにこだわり、孤高の存在としてファンの支持を得ています。カメラの世界における、頑丈で実直なニコンと、宣伝上手で革新技術に意欲的なキャノンの対比のようでもあります。・・・・・・

| 23:36 | コメント(0) | カテゴリー:吉田雅彦

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