2013年10月08日

日航がエアバス機を大量発注!

年末にまとめている航空10大ニュースのトップを
飾りそうなビッグニュースが舞い込んできました。

日本航空が、現在使用しているボーイング777の
後継機として、ヨーロッパ航空機大手のエアバス社
が開発を進めているエアバスA350を31機購入
すると発表しました。

これまでボーイング一辺倒だった日本の航空会社
にとって、大きな転換点となりそうです。

日本航空によりますと、確定発注は31機で、今後、
需要動向などによって25機をキャンセル自由の
オプション契約とするとしています。

実際の購入額は明らかにされていませんが、エアバス社
の参考価格によると31機で総額9500億円とみられて
おり、1機あたりの購入金額は約306億円となります。

A350は、現在、国内では全日空と日航が運航している
ボーイング787の対抗馬として開発が始まった旅客機で、
革新的な特徴を取り入れたB787の人気が高まったこと
から、エアバス社としては開発を急ぐ必要がありました。

ところが、当時、エアバス社は超大型旅客機のA380の
開発に全力を注いでいたため、A350を基本設計から
開発することが困難な状況で、当初計画案を既存のA330
をベースにしたことから一部の航空会社側からは「魅力に
欠ける」との批判が出されました。

このため、エアバス社は、当初の設計案を大幅に変更した
A350XWBを提案し、本格開発へと踏み切ったのです。
XWBは、eXtra Wide Bodyの頭文字をとったもので、
その名の通り、狭かった胴体幅が大幅に拡張され、新素材
などの新しい技術も導入されました。

こうして、ライバルのB787より優れた経済性、多くの座席数
を売り物に今年6月、初飛行に成功し年内の運用開始を
目指して最終チェックが行われています。

日本航空が本格的な大型機をエアバス社から購入するのは
今回が初めてです。
(日本エアシステムとの統合時は、JASが使用していた
A300を運航していましたが)
戦後の日本航空は、先ずノースウエスト航空からリースを受けた
マーチン202で運航を開始し、その後、ダグラス系のDC-4、
DC-6B、DC-7C、DC-8と使用してきました。

DC-8でジェット化された以降は、コンヴェア880などの例外
はありましたが、ダグラス系のDC-10やMD-11、ダグラス社
がボーイング社に吸収されてからは、ボーイング系の747や
767、777を主力機として使用してきました。

こうしたことからお分かりのように、そのほとんどがアメリカ製の
旅客機でヨーロッパ製の旅客機は皆無です。

これには大きな理由があります。
それは日米の貿易摩擦の縮小と、ボーイング製の旅客機に
部品を供給している国内の航空産業の保護と育成といった
政治的な配慮があったからです。

今回の日本航空の決断は、これまでのボーイング一社に依存
する方針を転換したもので、ヨーロッパ製の旅客機の購入を
示すことによって、他社も含めた購入交渉を有利に進められる
メリットと、リスクの分散といったメリットがあります。

一方で、ボーイング社に部品を供給している国内の航空産業
にとっては、日本での機材が減少するることによって部品の
受注が押さえられるというデメリットも考えられます。

同じボーイング777を多く運航させている全日空が、今後、
どのような判断を下すのか、ボーイング社はA350に対抗して
787の長胴型の787-9型機を開発中だけにその動向が
注目されます。


| 10:55 | コメント(4) | カテゴリー:田中穂蓄

コメント

田中さん、お疲れさまです。
確かに、日本の航空機と言えば、やはりボーイングのイメージがあります。
エアバスが、今後、日本でどの様に活躍の場を
広げていくか、推移を注視したいです。

投稿者 ちなみん : 2013年10月 8日 14:39

 小生は、日航=ダグラスという刷込みなので、それほど違和感はないのですが、エアバスが最初のA300をアメリカに売り込んだビジネス戦術から想像すれば、かなりの好条件でボーイングの顧客に浸透する作戦かとも思います。正直、ダッソー社の「ミラージュ」戦闘機の売込みで、フランスのセールスはしたたかな印象が強いし、稲盛さんも、前例踏襲はお嫌いな印象もあります。
 それも含めて、再建の一区切りができそうな日航の今後のビジネス展開はどうなるのか、路線拡大になるのか、便数増加が重点か、野次馬は興味しんしんです。

投稿者 フクザワ : 2013年10月11日 22:22

ちなみんさん、ありがとうございます。
100年近い歴史のある老舗ボーイング社と、43年の歴史のエアバス社、若い会社とは言えボーイングに追いつけ追い越せのビジネスパワーは、民間旅客機市場の年間シェアを見れば一目瞭然です。ボーイング王国の日本に殴り込みをかけたエアバスが今後、どのような動きを見せるか目が離せませんね。

投稿者 ホヅミ : 2013年10月27日 11:51

フクザワさん、ありがとうございます。
エアバス社が社運を賭けて初めての旅客機であるA300を開発した当初、ボーイング王国のアメリカには受け入れる航空会社はなかなかありませんでした。
それを打破しようとエアバス社が業界の常識を無視して行ったのは、イースタン航空にA300を無料リースするという驚くべき秘策でした。
その後、新たに開発する旅客機の操縦システムを統一して、航空会社のパイロットの訓練経費の負担を軽くするなど、ボーイング社にはないアイデアで急速にシェアを拡大したエアバス社、いずれは日本に生産拠点を作れたらとの野望もあるようです。
急速に発展するアジア市場をめぐって、両社のシェア争いはますます激しくなりそうです。

投稿者 ホヅミ : 2013年10月27日 12:06

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