2009年09月29日

苦悩する地方空港

地方空港が揺れています。
理由の一つは、言うまでもなく日本航空の
経営再建問題で国内路線の一部が廃止
される運命にあることです。

現在、日本にある空港は98、間もなく開港する
茨城県の航空自衛隊百里基地の共同運用も
含めると99になります。

「99」、この数が多いか少ないかは議論が
分かれるところですが、多くの方々は赤字経営の
空港が多く、そんなに空港は必要はないとお思いの
ことでしょう。

揺れる地方空港の一つに、長野県の松本市と
塩尻市にまたがる「信州まつもと空港」があります。

この空港は、日本の空港では最も標高の高い所に
位置しており、長野県が保有・管理しています。

この空港が注目されるのは、定期便で乗り入れて
いるのが日本航空1社だけで、しかも、今回の
路線廃止計画にこの空港が含まれているからなのです。

つまり、路線が廃止されると定期便の運航が一切
なくなり、あとはチャーター便の運航かジェネラル
アビエーションと呼ばれる小型航空機による不定期の
運航しかなくなるという現実が待ち受けています。

多くの収入を飛行機の着陸料に頼るという空港としては、
これは死活問題となります。

こうした現状を打開するには、大胆な発想の転換を
図っていかなければなりません。

そこで、非難を覚悟であえて申し上げさせて頂くと、
この空港をジェネラルアビエーションの一大拠点空港と
してみてはいかがでしょうか。

航空活動は大きくコマーシャルアビエーション=民間航空と
ミリタリーアビエーション=軍事航空とに分けられますが、
もう一つこのどちらにも属さないジェネラルアビエーション
という分野があります。

小型機の不定期運航や、航空写真などの産業航空、
エアロバティックやホームビルダーなどの自家用機を
使用したスポーツ・レジャー飛行、公共機関による
救難飛行や救急ヘリの運航などがこのジェネラル
アビエーションに含まれます。

特に、スポーツ航空の分野には年間を通じて様々な
イベントが存在しており、こうしたイベントの開催などで
多くの集客が見込まれます。

空港は単なる空の玄関としての機能だけではなく、
飛行機を利用しない人にも楽しめる施設、
アミューズメントパークとして機能する側面も持つべき
だと考えます。

通常は地元住民の足となる中小型機の運航で、
日本をはじめアジア周辺諸国の航空会社に路線を開放
してもいいと思います。
大手航空会社が路線の縮小を余儀なくされ、他に乗り入れる
大手航空会社がなければそれもありだと思います。

併せてジェネラルアビエーションの振興にも力を入れる、
いずれ経済状況が好転し民間航空活動が活発になれば
地方空港が再び脚光を浴びることになるでしょう。

政権が自民党から民主党に交代したように、空港も
発想の転換を図ってみてはいかがでしょう。
無駄だから廃止する・・・・ばかりが方策でしょうか。

勿論、これはいつものように私個人の意見ですが・・・・・

| 10:25 | コメント(4) | カテゴリー:田中穂蓄

コメント

空港を管理する長野県は「陸の孤島だ」と日航に廃止撤回を求めているのは報道の通りです。
本来の陸の孤島の意味を分かっていないように見えます、「陸」は陸上交通ではないかと。(そこ突っ込み所?)
なら「空の孤島」と発言すれば説得力あるのに。
それ以前に一社しか定期便がないのは松本だけではない現実は小人も存じています。
今回の整理路線(空港)より外れた奄美(鹿児島)も経営は甘くないです。ANK撤退後はJAL・及びグループ会社のみです。
ジェット機就航に伴う滑走路延長と施設移設で、地元住民の沖合い埋め立て反対を押しきって建設したのだから、路線整理対象になったら洒落になりません。
実際に羽田-奄美線開設を求め懇願したのも島民、及び出身の方々が署名を集め提出、JALが開設した経緯があります。
路線もグループ会社を含めて複数確保していますが安心はできません。
他の空港でも地元住民の懇願による路線開設があります。
民主党、日本の空港問題をどうするのか?目が離せません。

投稿者 小人部隊一号 : 2009年9月29日 12:00

田中さん、お疲れさまです。
今回のお話、自分も、田中さんのおっしゃる「ジェネラルアビエーション」としての利用・再起、賛成です!!
不採算部門の廃止は自分も賛成ですが、まずは現状ある施設の活用が肝要と考えます。
また一から全部立て直すより、現状ある機能を最大限有効活用すべきと考えます。
少なくとも、小型機・自家用機・産業航空での活用があるとの事、こちらで再起に賭けるべきと考えます!!

投稿者 ちなみん : 2009年9月29日 13:07

小人部隊一号さん、ありがとうございます。
日本航空の場合、半官半民の国策会社としてスタートし、長年の保護政策で培われた企業体質があり、厳しい体質改善が求められています。だからと言って一気に大幅な定期運航路線の縮小に踏み切って果たしてよいものでしょうか。
公共交通機関には安定した定期運航の維持が求められます。景気が悪くなったからといって路線を休止、あるいは廃止する理由にはなりません。
先ずは人件費を含めた高コスト体質を抜本的に改善し、
それでも危機的な状況であれば、国による支援もやむを得ないと思います。
今は何より公共交通機関としての信頼性を取り戻す時でしょう。
と、思います。

投稿者 ホヅミ : 2009年9月30日 10:28

ちなみんさん、ありがとうございます。
この国は、ジェネラルアビエーション=汎用航空に対して極端な抑制政策を取ってきました。
飛行機は危ないもの、迷惑なものとして疎んじられ、民間の航空活動は他の先進国に比べて明らかに立ち遅れています。
かつて、石原東京都知事が運輸大臣だった時に、ジェネラルアビエーションの大幅な規制緩和をやろうとしましたが、当時の運輸官僚たちによってつぶされてしまいました。
それほどこの国の空に自由は無いのです。
ブログを通じていつもお話ししているように、航空機の
技術革新は常に進んでいます。
やがてはトラブルを飛行機自身が見つけ出し、重大な
事態に進展する前に安全対策を全自動で行なう飛行機も
出現することでしょう。(一部は実用化されています)
つまり、落ちない飛行機の誕生です。
そうなれば、いずれは映画「スターウォーズ」の場面で
見られるような空いっぱいに数珠繋ぎになって飛行機が
飛んでいる世界も夢ではなくなるかも知れません。
人はワープ=瞬間移動に常に憧れを持っています。
瞬間移動は出来ないまでも、それを少しでも叶えてくれるものは、今のところ飛行機やロケットしかありません。
飛行機やロケットを眼の敵にするのではなく、飛行機や
ロケットとの共生を図る世の中に早くなって欲しいものです。

投稿者 ホヅミ : 2009年9月30日 11:00

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