2006年12月14日

長~い長~いつぶやき③

9時半かぁ。早起きした私に眠気が襲ってきた。本当はこの避難スペースで大の字に寝転びたい。座ってるとお尻が痛くなってくるんだもの。でも、こんな所で寝ていたら、きっと通報されて事が大きくなってしまう。だから、頑張って姿勢を正して、なるべく身体に負担がかからないように壁際に腰掛けている。次第にウトウトし始めた。目を閉じ、夢の中を彷徨いはじめた。ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ・・・。
「んっ?」
左側から足音が近づいてくる。
「おいおい、何だよ。誰が近づいてきてんの? イチャモンつけられちゃう? 勘弁してよぉ・・・。」

「オネエサン、どうしたの?」

目を開けると制服姿の2人の男性が。道路を守り、道路の安全のためパトロールをしている強い味方の登場だ。
「バイクの故障です。」
「オネエサン、どこがどうなったの?」
「フロントが・・・。」
「オネエサン、レッカー呼んだの?」
「はい。」
「オネエサン、これ何cc?」
「1200・・・。」
「オネエサン、・・・・・・・・・・・・・・・。」

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そんなに何度もおねえさん、おねえさんって言わなくてもアタシしかいないのに。でも、なんだか微笑ましい。1人の方はどこかに電話で連絡を取り、状況説明。その間にもう1人の方とのおしゃべりが続く。強制退去させられたらどうしようかと少し不安になったが、それは免れた。バイクだけ置いていくのも嫌だし、途絶えたメカニックとの話も中途半端だし、今ここを動きたくないのだ。



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「オネエサン、レッカーはいつ来るの?」
「今、連絡とってますが電話が途中で切れてしまって・・・。」
「誰か来てくれるんだよね?」
「はい。大丈夫です。」

じゃあってんで、彼らは、最後に一言私に注文をつけて退散した・・・。彼らのことを写真におさめたい。が、下手に遊んでいるような印象を与えるのは困りものだ。だから、こっそり・・・知らんぷりしてパチリ。で、ちょっとバイクの後ろに移動してまたまたパチリ。今のアタシにはこんなことがとっても楽しい楽しい気晴らしになるのさっ! お許しを~。ただいま、10時になりました・・・。

とりあえずもなにも暇なので、「なにかあったら連絡を・・・」という仲間の言葉に甘えて、パトロール隊と過ごしたひと時の談話をメールする。が・・・、ん~んっ、暇だ。日なたを求めて移動してみても、そんなに暖かいと感じるものでもなし、首都高速の下を眺めると・・・。
「あっ、お蕎麦屋さんだ!」
腹減った・・・。ノドもそろそろ乾いたなぁ。う~ん、いったい人間はどのくらいガマンできるのだろうか。
「どこかに梯子はないかなぁ。」
あるわけない。が、いますぐソバを食べたい衝動にかられている。
「くぅぅぅ! 見なきゃ良かった。」
食欲を無きものにするためには、寝るしかない。ってことでまたバイクの横に戻り、楽しい夢をみようとウトウトし始める。そこへ・・・、待ってましたの電話だぁぁぁ。

「ごめんねぇ、電池切れちゃって~。」
「いえいえ。」
「で、どうしよっか?」
「どうしましょう。」
「とりあえず、誰か向かわせるね。大丈夫?」
「はい。(っつうか、ハイとしか言えんっ!)」
「じゃあ、ちょっと待っててくれる?」
「(ず~っと待ってるっちゅうねん!)・・・ハァ~イッ!」
「また後で連絡するね。」
「お願いしま~すっ!」
プーップーップーッ・・・・・・・・・・・・

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「あ~ぁ、また切れちゃった。またひとりぼっちだぁ。次はいつかなぁ。また暇なときが続くなぁ。ブゥブゥ~~~ッ。・・・・・・まぁまぁ、みんな忙しい中、頑張っているんだ。愚痴をこぼしてはいけない。これも何かの試練だ。・・・なんの? ・・・なんだろう? ・・・神は私に何を訴えかけようとしているのだろうか。・・・いや、そんな大層なもんじゃないよ。・・・まぁ、こんな経験できないんだから、いいじゃないの。天気もいいし、ねぇ。」

そんな独り言がグルグル回る。時々、ほくそ笑みながらバカバカしい時間を存分に楽しめている私がいる。
「アタシって幸せだなぁ。」
時間に追われ、一分一秒が大切な時もあるはずなのに、そしてそんなせわしない世の中に居るはずなのに・・・。あっ、電話だ! ツーリング中の仲間からだ!

「今から昼ごはん食べるよぉ。蕎麦屋さん。いい感じだよぉ。」
「(ゲッ、さっきアタシが食べたいと思っていたものではないかっ!)え~、いいねぇ。アタシも食べたいぃぃぃ。」
「いいでしょぉ。早くおいでよぉ。」
「だからっ、今から追いつけるわけないでしょっ。」
「ケッケッケ!」
「(なんじゃいっ、その笑いはっ!)・・・」
「どう? メカニックから連絡あった?」
「うん。誰か手配してくれるって!」
「良かったじゃん。」
「うん。一安心。」
「いつ来るって?」
「また連絡してくれるみたい。」
「そっかぁ。ちょっと待ってて~。」
「・・・」
別の仲間が電話替わってくれるらしい。
「はぁ~いっ。どう?」
「寒いけど、頑張ってる!」
「今日さぁ、ツーリング早めに切り上げて、うちの近くのカレー屋に行こうと思ってたのよぉ。ナンがすごく美味しいのよぉ。食べさせたいのにぃ。」
「え~~~っ。行くよぉ! 電車で!!!」
「ホントに?」
「夕方にはここから解放されるから、行く行く~~~。だって、誰にも会えないのって寂しいじゃんっ。」
「じゃあ、待ってるから。」
「あぁ~~~んっ、ありがとう~!」
「頑張ってね。」
「うんっ! あと数時間だと思うから、首都高速滞在、楽しむわ。」
「じゃあねぇ。」
プーップーップーッ・・・。

あたしは、呼ばれなくても首都高速を降りたら仲間と合流するつもりで居た。だって、こんなに楽しい体験してるのに、語らずに今日という日を終われるものか。仲間の楽しかったツーリング話を聞かずに今日という日に幕を下ろすわけにはいかないではないか。っつうか、そもそもこのツーリングは、あたしの知り合いの初ツーリングということで企画してもらったものだ。数人は一度顔合わせをしているから大丈夫だとは思うが、知らない人もいる中での初ツーはやはり緊張もするであろう。その知り合いに申し訳ないという気持ちもやっぱりあるし。だから、どんな様子だったのかももちろん聞きたいのであった。

実は、ツーリング仲間が集う『基地』が某所にある。必ず何人かはそこでくつろいでから帰路につくことを知っている。それを密かに狙っていたのだ! だからこそ、なんと勇気付けられたことか。一つ目標ができると人間は強くなれるものだ。楽しみが目の前にあるから、カレー屋のナンというご褒美をぶら下げられたからには、戦い抜かねばならぬ。よしっ、頑張ろうっ。ただいま、11時前。


→ またまた続いちゃいます。あと、1時間ちょっと~。フゥ~ッ。

| 18:13 | コメント(0) | カテゴリー:木次真紀

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